米ミズーリ州 家庭用監視カメラ企業Lorexを提訴 中国軍関連・データ送信疑惑

2026/06/19
更新: 2026/06/19

アメリカ中西部のミズーリ州は、家庭用セキュリティカメラを製造・販売するLorexが、中国軍関連企業との関係を隠していたとして、同社を提訴した。報道によると、同社製品の利用者データが中国本土の企業に送信されていたとされる。

6月15日、ミズーリ州のキャサリン・ハナウェイ司法長官は、Lorexの製品について、米国内の家庭の監視につながるおそれがあり、家庭の安全や国家安全保障に影響を及ぼす可能性があると指摘した。

Lorexはカナダに本社を置き、高解像度や双方向通話機能などを備えた監視機器を販売している。家庭用カメラやベビーモニターなどが主力製品で、ベストバイやコストコ、アマゾンなどで取り扱われている。

州の発表によると、Lorexの旧親会社は中国の浙江大華技術(Dahua Technology)で、現在も同社が部品供給を行っているとされる。大華は2019年、アメリカ国防総省によって「中国軍事企業」のリストに追加されている。

また、研究者によるファームウェアの分析の結果、Lorexのデータが中国本土にある大華に直接送信されていたことが確認されたとしている。州側は、これにより機器のソフトとハードの両面で中国側の関与が示されたと指摘している。さらに、中国共産党当局が利用者のデータにアクセスできる可能性があるとしている。

ハナウェイ司法長官の事務所は、Lorexが消費者や小売業者に対し、こうした関係について十分な情報を開示していなかったとしている。また、中国企業との関係や、それに伴う安全保障上の懸念についても隠していたと主張している。

司法長官は、Lorexがプライバシー保護を掲げているにもかかわらず、中国軍関連企業との関係を開示していなかったと指摘した。

さらに、これらのカメラが家庭内の私的な場面を記録する用途で使用されているとしたうえで、企業が外国政府との関係を適切に説明しない場合には、州として対応を取る考えを示した。

大華技術との関係と規制経緯

大華社は2019年、アメリカ商務省のエンティティ・リストにも追加されている。理由については、新疆ウイグル自治区などでの少数民族への対応に関与したとされている。

今回の訴訟は、ミズーリ州ジェファーソン郡の巡回裁判所に提起されている。訴状では、過去5年以内にLorex製品を購入した州内の消費者に対し、1人当たり最大1000ドル(約15万円)の補償を求めているほか、180万ドル(約2億7000万円)を超える損害賠償や、製品の安全性に関する虚偽の説明の差し止めなどを求めている。

Lorexをめぐっては、アメリカ国内の他の州でも同様の動きが出ている。テキサス州のケン・パクストン司法長官は今年2月、同社を提訴し、中共当局の利益に関与している可能性があると指摘した。

さらに、ネブラスカ州のマイク・ヒルガーズ司法長官も2025年に同社を提訴し、大華技術の使用を開示していなかった疑いがあると指摘している。ヒルガーズ氏は、Lorexが2022年に事業を台湾のクラウドサービス企業Skywatch(スカイウォッチ)に売却した後も、大華の技術への依存が続いているとの見方を示している。

林燕