TikTokによって反イスラエル宣伝 中共、米国の弱体化狙い

2023/11/15
更新: 2023/11/15

中国共産党(中共)は中国製アプリTikTokを利用して、反イスラエルの宣伝を中国から米国へと拡大し、米国の若者のイスラエルとハマスの衝突に対する見解に印象操作を行い影響を与えようとしている。専門家は、中共は米イスラエル同盟を混乱させ、中東における米国の影響力を削いでいる。長期的な目標として、「ペトロダラー体制」(石油決済はドル建てで行う)を覆そうと試みているのだと指摘した。

TikTok、若者の世界観を曲げ 米国社会に影響を

共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は11月7日、イエレン米財務長官に書簡を送り、TikTokを禁止するよう求めた。書簡の中でホーリー氏は、TikTokには米国の若者の世界観を「完全に歪める」力があり、それはイスラエル・ハマス戦争に対する若者の見方によって検証されていると述べた。

マッチングアプリTinder(ティンダー)の元幹部ジェフ・モリス・ジュニア氏はTikTokの検索バーで 「Stand with palestine(パレスチナ支持)」と 「Stand with israel(イスラエル支持)」を検索した際に表示されるハッシュタグの候補のスクリーンショットを投稿した。10月31日時点で、「#stand with palestine」は世界中で34億回再生され、「#stand with israel」は3億1360万回再生されたという。

ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・ポール(世論調査会社)が10月20日に発表した世論調査結果によると、18~24歳の米国人回答者の半数以上(51%)が、ハマスが1200人以上のイスラエル民間人を殺害したことは、パレスチナ人が不幸な状況に置かれていることを考慮すると、正当であると考えている。49%がハマスの行動は不適切だと考えている。対照的に、ハマスによるイスラエル民間人殺害が正当だと考えているのは、米国民全体の24%に過ぎない。

この格差はTikTokのアルゴリズムによるものかもしれない。SNSのランキングアルゴリズムは、どのコンテンツが上位にランク付けされ、どのコンテンツが下位にランク付けされ、どのコンテンツがユーザーにプッシュされるかを決めるため、特定の投稿の閲覧回数に影響を与えることができる。それが投稿内容に影響を与える可能性もある。

3月、米連邦捜査局のレイ長官は上院公聴会で、TikTokは中国企業のバイトダンスが所有し、最終的には中共政府がコントロールしているツールだと語った。レイ氏は、中共はユーザーが見るものをコントロールし、それによって米国人を分断できると明かした。

狙いは石油決済通貨の地位

中共政府と官製メディアはイスラエルに批判的で、ひそかにハマスを支持している。10月15日、中国の王毅外相はサウジアラビアとの電話会談で、イスラエルがガザで行っている行動が「自衛の範囲を超えている」と非難し、それを「集団懲罰」だと呼んだ。さらに、国連でイスラエルに賛成票を投じた米国を批判した。中共の反イスラエル、親パレスチナの姿勢は、中東で米国と対峙するという地政学的目標に基づいている。

1970年代、米国と当時世界最大の産油国だったサウジアラビアは、米ドルを石油の決済通貨として使用することで合意した。 米ドルは世界の主要な外貨準備通貨となった。

米国在住の中国専門家・石山氏は、中共は長い間「石油通貨」の地位を切望してきたと分析した。中共は中東が米国にとって重要であることを知っている。中東は中共にとって重要な戦略目標だ。さらに中共は人民元で石油を購入することを計画しているのだ。

過去6年間、中共はサウジアラビアと石油決済の人民元使用をめぐって交渉してきた。 同時に、中共はサウジを仲間に引き入れる努力を強化してきた。サウジの弾道ミサイル製造を支援し、核開発計画を助言し、ムハンマド・ビン・サルマン・アル・サウド皇太子にとって重要なプロジェクトへの投資を開始した。

同時に中共当局は、米国の敵であるイランやシリア、さらにはハマスまでも取り込もうとしている。

今年2月、イランのライシ大統領は中国を訪問した。両国は貿易、運輸、情報技術、観光、農業、危機対応の分野で20の協定に調印し、その金額は数十億ドルに上ると推定される。今年9月には、シリアのアサド大統領が中国を訪問した。

10月7日、ハマスがイスラエルを攻撃したことを、中共は批判しなかった。イスラエルが反撃した後、中共は直ちにイスラエルの過剰防衛を非難した。

 

江楓