米国・イランが戦争終結に向けた覚書に署名 米イラン合意の内容は?

2026/06/18
更新: 2026/06/18

米国とイランは17日、約4か月にわたる戦争を終結させる合意に署名した。米政府高官がエポックタイムズに明らかにした。

覚書(MOU)には、ホルムズ海峡の再開、イランによる核兵器開発計画の停止、そしてイランが米国の要求に応じた場合の将来的な経済支援が盛り込まれており、トランプ大統領がG7首脳会議出席のためフランス・ベルサイユを訪問中に署名し、即時発効した。

暫定合意の詳細は同日、米政府高官が報道陣向けの電話会見で明らかにした。

合意では、60日間の交渉期間中、イランがホルムズ海峡を通行料なしで即時再開することが定められている。

また、イランは少なくとも高濃縮ウランの備蓄を削減することに同意した。

イランが合意内容を誠実に履行した場合、地域パートナーによる3千億ドル規模の戦後復興基金という形で、将来的な経済支援が受けられる仕組みとなっている。

米政府高官は、米国が同基金に直接資金を拠出するのではなく、あくまで基金の設立を支援するにとどまり、イランが合意を遵守すれば制裁緩和を認める形になると説明した。具体的には、アラブ首長国連邦のような周辺国がイランに発電所を建設するといった形態が想定されている。

また、合意に基づきイランは制限なく石油を輸出できるようになり、60日間の交渉期間中にイランの核開発計画についての協議が行われる。

米政府高官によれば、覚書に全関係者が署名・批准した後、米国はイラン周辺の海上封鎖を解除し始める。

最終的な計画は60日間の交渉期間終了後に実施され、必要となる財務取引に関して米国が必要なライセンスや免除、許可を付与する。

副首席補佐官のダン・スカビーノ氏はXに動画を投稿した。映像には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が左隣に着席する中、トランプ大統領がベルサイユで合意文書に署名し、拍手が沸き起こる様子が収められている。

トランプ大統領は合意文書を国務長官マルコ・ルビオ氏に手渡した後、マクロン大統領と握手を交わし、再び拍手が起きた。

 

米・イラン合意の内容 戦争終結に向けた覚書の詳細

2026年6月12日、レバノン南部の都市ナバティエでイスラエル軍の空爆により煙が立ち上った(Abbas Fakih/AFP via Getty Images)

合意は60日間の交渉期間を設け、その後に戦争の終結とイランの「核に関するニーズ」の行方を定める最終合意に至る。

交渉期間中、ペルシャ湾からオマーン海に至るホルムズ海峡では、すべての商業船舶に無料で安全な航行が保障される。

また、イランは高濃縮ウランの備蓄を即時に低濃縮化し始めることに同意した。

合意が遵守され、交渉が成功した場合、米国はイランとの最終合意に署名し、米国による制裁の解除が盛り込まれる見通しだ。

イランが石油販売を再開

覚書への署名後、米国はイランが原油・石油化学製品および関連品を即時に販売することを認め、イラン政府に対して重要な経済的支援を提供する。制裁免除には、石油販売に必要な銀行・輸送・保険といった主要サービスも含まれる。

この条項(MOUの第10項)をめぐっては批判も出ている。

トランプ政権はこれを擁護し、イラン産石油への制裁を継続しても実効性がなく、現状では中国が大幅な割引価格でこの石油を購入できていると説明した。

「実際には売り続けることを認めながら、イランの石油を制裁するのは矛盾している。中国に大幅な割引を与えているだけだ」と米政府高官の一人は電話会見で語った。

別の高官は、イランが石油を自由に販売できるようになれば国際的な石油価格の押し下げにつながり、ひいては米国の一般家庭のガソリン価格引き下げにも資すると述べた。

イランの核兵器開発禁止

トランプ政権にとって覚書の最重要事項は、あらゆる制裁緩和や経済的恩典に先立って履行されなければならない核問題における対イラン要求だ。

合意では、イランが「核兵器を調達・開発しない」ことを再確認している。

また、イランは国連の核査察機関である国際原子力機関(IAEA)の監督下で高濃縮ウランの備蓄を低濃縮化することに同意した。

ただし、オバマ政権時代のイラン核合意(JCPOA)で認められていた民生用原子力発電に必要なレベルのウラン濃縮活動を、今後も認めるか否かについては依然として不明確だ。

覚書は、60日間の交渉後の最終合意において「濃縮問題および核ニーズに関連するその他合意事項について協議する」と定めるにとどまっている。

トランプ大統領は617日、60日以内に交渉が決裂した場合、あるいはイランが特に核条項を含む合意義務を果たさない場合は「爆撃を再開する」と警告した。

海峡再開が世界経済を下支え

MOUに基づき、イランは60日間の交渉期間中、ホルムズ海峡を通行料なしで即時再開する。

トランプ大統領は、海峡の混乱継続がエネルギー市場に影響を及ぼし世界経済を傷つけているため、戦争を長引かせないことを選んだと説明した。海峡の再開によってエネルギー価格が低下し、世界経済が支えられ、株式市場も活性化すると述べた。

「ホルムズ海峡を通る海上輸送量はすでに大幅に増加している」と大統領は記者会見で語った。

「今後数日以内に通常のエネルギー輸送が再開され、世界は数兆ドルの恩恵を受けるだろう。株式市場も上昇を続けると信じている」と述べた。

またトランプ大統領は、1930年代の大恐慌を悪化させたとされるハーバート・フーバー大統領のようには記憶されたくないと語った。

「経済の大惨事は見たくなかった」と大統領は述べた。

G7首脳も海峡再開を歓迎した。フランスのマクロン大統領は6月17日の記者会見で、G7首脳が今回の合意を支持したと述べた。

資産凍結解除と制裁緩和

米国は、最終合意が成立した場合、イランに対するすべての一次・二次制裁を撤廃することに同意する。

最終合意は、米国が新たな対イラン制裁を科すことも禁じる内容となっている。

また、凍結資産は覚書の「実施に伴い」解放される。

米国とイランは「交渉期間中に、資金解放に関する手続きを相互に合意する」と覚書は定めている。

米政府高官は、イランが凍結資産にアクセスできるのは米国との最終合意締結後のみであり、解放は核に関する要求の履行を条件とすることを強調した。

トランプ大統領、3,000億ドル基金を説明

覚書の中で最も広く報じられ、論議を呼んでいる条項の一つが、米国と中東の地域パートナーが協力してイラン向けの3千億ドル規模の復興・経済開発基金を創設する計画だ。

この計画は60日間の交渉期間終了後でなければ実施されず、最終的な仕組みの詳細は最終合意の中で示される。

合意によれば、米国は3千億ドル基金の設立・実施に必要な財務取引に関して、必要なライセンス・免除・許可をすべて付与する。

米政府高官は、米国が復興基金に直接資金を拠出するのではなく、イランが合意を遵守した場合の制裁緩和を通じた支援にとどまると説明した。例えば、アラブ首長国連邦のような国がイランに発電所を建設するといった形態が想定されると述べた。

フランスでトランプ大統領は、同基金はイランが「正しいことをする」ことを条件とすると改めて強調した。

「数千億ドルの話をする際には、これだけのことも忘れずに。イランは1兆ドルをはるかに超える被害を受けた。再建には長い道のりがある。今の状況から復興するには15年から20年かかるだろう」と大統領は述べた。同国は2月28日に戦争が始まって以来、甚大な被害を受けている。

米軍は引き続き地域に駐留

覚書署名後、米国はただちに海上封鎖を解除するとともに、「イラン・イスラム共和国に対するあらゆる妨害・障害」を取り除くことに同意する。

30日以内に海上封鎖を完全に終了する。

戦争終結に向けた最終合意の批准後、米国はイラン付近から軍を撤退させる。

さらに最終合意は「レバノンを含むすべての戦線における恒久的な戦争終結を確認する」とし、米国は地域への追加部隊派遣を行わないことに同意する。

ただしトランプ大統領は、イランが要求に応じない場合は軍事行動を再開する用意があることを示した。

「これは覚書だが、記載のない事項についても互いに理解している。もしイランがそれを守らなければ、守るまで爆撃を再開することになるだろう。爆弾が何をできるか、驚くほどだ」とフランスで述べた。

記者会見後、トランプ大統領はマクロン大統領主催のベルサイユ宮殿での晩餐会に出席するためパリへ向かった。パリの空港で、米軍のペルシャ湾駐留期間について問われたトランプ大統領は「しばらくの間」と答え、「今後の展開次第だ」と語った。

Emel Akan
エポックタイムズのホワイトハウス上級特派員、トランプ政権担当記者。 バイデン前政権とトランプ第一次政権時は経済政策を担当。以前はJPモルガンの金融部門に勤務。ジョージタウン大学で経営学の修士号を取得している。
エポック・タイムズで国家政治、航空宇宙、航空業界を担当する記者である。以前は「サラソタ・ヘラルド・トリビューン」でスポーツ、地域政治、速報ニュースを担当していた。