中国共産党(中共)が西太平洋で軍事拡張を強める中、米国は西太平洋の島嶼国パラオで軍用レーダーシステムの整備を進めており、パトリオット地対空ミサイルの配備についても両国が協議していることが明らかになった。
パラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領は日経アジアの取材に対し「パラオはあまりに小さく、米国が準備も能力も持たなければ、パラオは占領される」と危機感を示した。ウィップス大統領はまた、米国によるパラオへのレーダー基地建設を歓迎するとし、「この問題はパラオの国家安全保障に直結している」と述べた。
パラオは1994年に米国の信託統治から独立し、自国軍を保有しないが、米国と太平洋三島嶼国が締結した自由連合協定(Compact of Free Association)に基づき、米国の安全保障を受けている。
米軍によるパラオのレーダー事業は2017年に提案されたが、一時停滞していた。ウィップス大統領によると、現在は事業が再び前進しており、レーダー基地の建屋は完成済みで機器設置を待つのみの状態で、来年中に運用開始できる見通しだという。
パラオへの米軍レーダーシステムは主に航空機や弾道ミサイルの探知に用いられ、同地域における米軍の監視網を強化する。パラオは「第二列島線」沿いに位置し、中共からは対米防衛線の一つと見なされているほか、台湾と外交関係を維持している数少ない国の一つでもある。
ウィップス大統領は「力による平和を信じている。パトリオットミサイルが配備されれば、安心して眠れる」と語った。
中共による太平洋島嶼国への懐柔・圧力工作
近年、中共は経済援助などを手段に太平洋島嶼国への圧力工作を展開し、台湾との断交を迫っている。2022年にはソロモン諸島と安全保障協定を締結、2024年にはナウルを台湾政府から切り離した上で外交関係を回復させた。パラオも中共による圧力にさらされている。
中共の調査船が最近、台風避難を口実に許可なくパラオの排他的経済水域に侵入した。ウィップス大統領は「台風避難が目的なら、なぜ機器を海中に投入するのか。なぜパラオの海底ケーブルの上空付近を徘徊するのか」と疑問を呈した。
ウィップス大統領はまた、「台湾は信頼できるパートナーだ。中共の圧力があっても、パラオは台湾との外交関係を維持する」と明言した。中国との外交関係を持つことには全く問題ないが、台湾と友好関係を築くのはパラオ自身の選択であり、いかなる者もこれに干渉することはできないとも強調した。
ウィップス大統領は最後に「米国はパラオにとって最重要のパートナーであり、経済・安全保障両面で緊密に連携している。気候変動や災害対応については、日本・オーストラリア・インドなど他のパートナー国の協力も必要だ」と述べた。
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