アメリカ社会 最大5年の禁錮刑

ウイルス病原体の密輸容疑 米国立衛生研究所の研究者らを起訴

2026/06/06
更新: 2026/06/06

米国立衛生研究所(NIH)の研究者2名が、ウイルス病原体を米国内に密輸し、捜査官に対して虚偽の説明を行った疑いで起訴された。検察当局が6月2日に発表した。

NIH傘下の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)に勤務し、モンタナ州の高度なバイオセーフティ・レベルの研究所で活動していたヴィンセント・マンスターとクロード・クウェは、1月、エムポックス(サル痘)の流行が発生していたコンゴ共和国から、デトロイトの空港に到着した。

起訴状によると、税関職員は、彼らが大きな黒いプラスチックケースを運んでいるのを確認した。二人は、中身は診断および検査用の機器であると職員に説明したが、その後の調査で、ケース内には113本のバイアル(薬瓶)が入っていたことが判明した。

国立衛生研究所の研究者らが輸送中の黒いケースの中から、バイアル瓶が発見された(FBI提供、エポックタイムズ経由)

FBIによると、20本のバイアルについて検査を完了したところ、17本には不活化されたエムポックスウイルス、1本には水痘(水ぼうそう)ウイルス、2本にはヒトDNAが含まれていた。

エムポックスウイルスは、連邦政府が指定する「危険な生物剤および毒素のリスト」に登録されている。このリストは、人間や動植物の健康、あるいは農畜産物に対して重大な脅威となる可能性がある物質を定めたものだ。このリストにある物質を輸送する者は、その物質が不活化されていることを示す書類を含む、所定の書類を携行しなければならない。

FBI捜査官によると、マンスター(53歳)は必要書類の提示を求められた際、「すべてノートパソコンの中にあるが、必要ないだろう。私はいつもこうしている」と答えたという。

当局によれば、結局それらの書類が提出されることはなかった。また、NIH側も、マンスターやクウェが規定通りに事前に輸送を通知した記録はないことを確認した。

ミシガン州の連邦検察当局は、オランダ国籍のマンスターとカメルーン国籍のクウェを、エムポックスを米国へ密輸しようと共謀した疑い、および法執行機関に虚偽の供述をした疑いで起訴した。

ミシガン州東部地区のジェローム・ゴーゴン・ジュニア連邦検事は声明で、「これらのNIHの専門家は、コンゴ共和国での流行地から、混雑した民間航空機でウイルス病原体を密輸するという、我々の法律に違反する行為を平然と行った。この事の重大さをよく考えてほしい」と述べた。

今回の捜査には、NIHの親機関である保健福祉省(HHS)の監察総監室も関与した。

HHS監察総監室のマーカス・サイクス特別捜査官は、「これら個人が重大な連邦罪で逮捕されたことは、連邦プログラムを守る義務があるHHS職員も含め、何人たりとも法の上に立つ者はいないという、明確で紛れもないメッセージとなる」と声明を出した。「適切な認可なしに生物材料を隠蔽・密輸しようとする意図的な試みは、公衆の信頼に対する裏切りであり、市民を危険にさらす可能性があった」

有罪となれば、マンスターとクウェには最大5年の禁錮刑が科される可能性がある。

モンタナ州ハミルトンにあるロッキーマウンテン研究所のウイルス生態学セクション主任であるマンスターは、かつて、新型コロナウイルスが最初に確認された中国の研究所で実施予定だった、リスクの高い研究の提案書にも名を連ねていた。彼はコメントの要請に応じていない。クウェとは連絡が取れていない。

マンスターのリンクトイン(LinkedIn)での今年初めの投稿には、自身のセクションが「エムポックス伝播のパラメータをより深く理解する」ことに注力しており、コンゴ共和国での活動を「実験室でのアプローチ」へと橋渡ししていると説明する記事が共有されていた。

マンスターと、彼のセクションの客員研究員であったクウェは、4月に発表された論文を共同執筆している。その中で彼らはエムポックスを「世界的な脅威」と表現し、2024年以降、米国での7例を含む複数の渡航関連の症例が報告されていると指摘していた。また2024年には、コンゴのエムポックスに関する遺伝子配列解析の結果も発表している。

6月3日時点で、HHSの職員名簿にマンスターとクウェの名はなかったが、同日のNIHのウェブサイト上では、マンスターはいまだにウイルス生態学セクションの主任として記載されていた。

NIHの広報担当者はエポックタイムズへのメールで、1月にデトロイトの空港でNIH職員が関与した事案について、当局の指導部が把握していたことを認めた。

広報担当者は、「NIH指導部は直ちに既存のプロトコルを発動し、関連する研究所施設、研究材料、および生物試料を保護した。これには、関連する研究スペースの封鎖、影響を受けたエリアへの立ち入り制限、およびすべての材料が関連するバイオセーフティの政策・要件・手順に従って適切に計上、文書化、維持されていることを確認するための包括的な監査と棚卸しの実施が含まれる」と述べた。

NIHによれば、この件は現在捜査中であり、同機関は法執行機関およびその他の当局に協力しているとのことである。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。