南シナ海の西沙(パラセル)諸島周辺で、中国による軍事拠点化の動きが加速している。中国共産党政府は「主権」や「自衛権」を主張しているが、各国からインド太平洋地域の安全保障環境への影響が懸念されている。
ロイター通信によると、西沙諸島周辺を航行していたオランダ海軍のフリゲート艦に対し、中国共産党軍が海軍と空軍を動員して退去を求める事案が発生した。オランダ側は「国際法に従って行動していた」と説明している一方、中国側は自国の領海・領空への「不法侵入」と主張し、威圧的な対応をとったという。
中国は南シナ海のほぼ全域を自国の海域とする独自の主張を続けている。しかし、2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所は、中国の主張について「法的根拠がない」と判断している。中国はこの判断を受け入れておらず、他国の航行に対して軍事的圧力を強める姿勢を維持している。
米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が3月に衛星画像の分析を公表し、西沙諸島の羚羊(アンテロープ)礁で大規模な人工島造成や滑走路建設が進められている可能性を指摘した。
これに対し、ベトナム外務省報道官は「違法で無効な外国の活動だ」として反発し、抗議声明を発表している。
日本の防衛省も、中国の一連の動向に強い警戒感を示している。防衛省によると、中国は南シナ海で急速かつ大規模な埋め立てを進め、滑走路や航空機用格納庫、ミサイルシェルターなどの整備を推進しているとしている。
防衛省は、この軍事拠点化により港湾や飛行場の運用能力が高まり、艦艇や航空機の常続的な展開が可能になることで、中国の警戒監視能力や作戦遂行能力が大幅に向上すると分析。また、接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力の強化により、南シナ海における航空優勢の確保や米軍など外部勢力の介入阻止につながる可能性があるとしている。
防衛省の資料によると、米国はこうした事態が海上交通路(シーレーン)における航行の自由を阻害し、地域全体の安全保障環境を悪化させる懸念要素であると指摘している。
中国共産党の拡張的な動きに対し、米国やオーストラリアなどは国際法に基づく対応を継続している。米国は、中国の海洋権益の主張について国際法秩序への挑戦であると位置づけ、同盟国とともに沿岸国の主権的権利を守る姿勢を示している。
その一環として、米軍は「航行の自由作戦」を継続しており、西沙諸島や南沙諸島周辺で艦艇を航行させている。国際法上保障された海洋の自由を維持する狙いがある。
西沙諸島における中国共産党軍の軍事的影響力の拡大は、単なる領土問題にとどまらず、国際法秩序そのものに対する挑戦として受け止められている。地域の安定と法の支配を維持するため、国際社会の連携した対応が引き続き問われている。
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