中国南部で大雨による洪水被害が広がっている。江西省や湖南省、湖北省などで街が冠水し、住民からは「また予告なしで放流した」「毎年繰り返される人災だ」と怒りの声が噴出している。
江西省
江西省南部の贛州(かんしゅう)市では、5月15日夜から記録的な大雨となり、複数の地域が一気に冠水した。動画には、濁流が地下駐車場へ流れ込み、住民が首近くまで水につかりながら避難する様子も映っていた。車が水流にのみ込まれる場面も確認されている。
一部地域では停電や断水も発生し、古い石橋が崩落したほか、土石流も起きた。農地や家畜への被害も深刻だ。長年暮らしてきた住民からは「こんな洪水は見たことがない」と驚きの声が上がった。
さらに現地住民は本紙に対し、「今回の洪水は、上猶県(じょうゆう-けん)のダム放流が原因だ。放流の勢いが強すぎて、一気に街がのみ込まれた」と訴えている。
江西省全南県(ぜんなんけん)でも、複数の水庫(ダムや貯水池)が危険水位を超えたとして放流を実施しており、住民からは「また夜中に勝手に放流したのか」「何の連絡もなく急に水が押し寄せてきた」「寝ている間に街が川になった」「人の命を何だと思っているんだ」と激しい怒りの声が噴出した。当局側は放流の経緯について詳しい説明を行っておらず、住民の不信感は強まっている。
中国では毎年のように豪雨災害が起き、そのたびに「予告なし放流」が問題になる。住民避難が間に合わず、深夜に濁流が住宅地へ流れ込むケースも少なくない。それでも改善されない現状に、ネット上では「これは自然災害よりひどい人災」「毎年死人が出ても何も変わらない」と怒りが広がっている。
湖北省
湖北省荊州(けいしゅう)市でも街全体が冠水し、道路はまるで川のような状態となった。現地SNSには、水につかった車が並ぶ映像や、ボートで道路を進む人々の動画が相次いで投稿された。
「大雨が降るたびに街が沈む。なのに何も変わらない」。ある住民は動画でそう訴え、「天気予報で前から分かっていたのに、なぜ対策をしないのか」と政府を批判した。
湖南省
湖南省常徳(じょうとく)市石門県(せきもんけん)では、洪水対策の「2級緊急対応」が発令された。これは上から2番目の警戒レベルにあたる。川に架かるつり橋は、わずか10秒ほどで濁流にのみ込まれ、学校や商店街も浸水。場所によっては、水位が車の屋根近くまで達した。
当局は住民約1万6千人を避難させたとしているが、中国では災害時でも情報統制を行うことが多く、実際の被害規模は分かっていない。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。