日本と南アフリカ共和国(以下、南アフリカ)は、近年ハイレベルな交流を重ねており、二国間関係の発展を推し進めてきた。日本にとって南アフリカは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の根幹をなす「自由」や「法の支配」といった基本的価値および原則を共有する重要なパートナーと位置づけられている。また、南アフリカを含むアフリカ大陸はFOIPにおける重点地域であり、二国間の連携強化は、国際社会全体の平和と安定に向けた戦略的な背景を持っている。
会談の成果:経済・エネルギーから国際情勢までの幅広い合意
令和8年(2026年)5月5日、南アフリカを訪問した茂木敏充外務大臣は、同国のロナルド・ラモラ国際関係・協力大臣と約1時間にわたる外相会談を実施し、以下の点で大きな成果を収めた。
1. 重要鉱物におけるサプライチェーンの強靱化
両大臣は、経済関係をさらに活性化させることで一致した。特に重要鉱物に関しては、サプライチェーン強靱化の観点から、両国の官民が連携して協力を一層推進していくことが確認された。
2. 脱炭素・エネルギー移行への支援と投資環境の整備
日本は南アフリカが推し進める脱炭素およびエネルギー移行の取り組みを支援する姿勢を明確にした。前年11月に両国政府間で署名された「脱炭素に関する協力覚書(MOC)」に基づき具体的な協力を進めるほか、南アフリカのエネルギー部門改革を後押しするための円借款供与に向けた調整を継続することが伝えられた。これに対しラモラ大臣からは謝意が示され、エネルギー分野でのさらなる協力強化への意欲が表明された。また、日本企業の安定的な活動を支える投資環境の整備についても、一層の投資促進に向けた協力が確認された。
3. 国際場裡における協力強化
茂木大臣からFOIPの「進化」に関する説明が行われ、両国は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持および強化に向けて取り組むことで合意した。さらに、中東や東アジア、ロシア・ウクライナといった現下の地域情勢に加え、アフリカの平和と安定、日・SADC(南部アフリカ開発共同体)関係、国連安保理改革などの国際的課題についても意見を交わし、引き続き国際場裡で連携していくことが確認された。

官民連携による経済関係の深化とグローバルな協調
今回の会談結果を踏まえると、今後は重要鉱物および脱炭素・エネルギー分野において、日本の資金的支援(円借款等)や協力覚書(MOC)を基盤とした具体的なプロジェクトが早期に具体化し、官民一体となった協力関係が加速することが予測される。投資環境の改善が進むことで、日本企業による南アフリカへの直接投資が促進されることも見込まれる。
また国際的な視点においては、アフリカをFOIPの重点地域とする日本の外交戦略において、価値観を共有する南アフリカとの連携が今後さらに重要性を増すことになる。複雑化する地政学的リスクや地球規模の課題に対して、両国が歩調を合わせて対応していく強力なパートナーシップが構築されていくことが期待される。
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