海外サイトにアクセスする手段が、突然使えなくなる。そんな状況が、中国各地で広がっている。
海外ニュースやSNSを見るために使われてきたVPN(海外サイトに接続するための仕組み)。その主要サービスの一つ「LetsVPN(快連VPN)」が4月28日、中国本土向けの運営停止を発表した。急激に強まったネット規制により、接続が維持できなくなったためだ。
ここ最近、中国ではVPNの接続不安定が急増している。「すぐ切れる」「全くつながらない」といった声が相次ぎ、不満が広がっている。背景には、当局による特定の通信を狙った「ピンポイント遮断」があるとみられ、購入済みのVPNサービスが次々と使えなくなる状況が起きている。
中国のIT企業で働くエンジニアは本紙の取材に対し、3月以降にVPN遮断が急速に強まり、通信各社が連携した封鎖により従来の回避手段がほぼ通用しなくなったと説明している。
実際、3月以降、各地の警察当局が「規制回避行為」の取り締まりを開始。4月中旬からはさらに強化され、ネット管理当局と通信当局が主導し、中国移動、中国電信、中国聯通の大手通信会社と連携して、利用者側の監視や処罰を進めている。
こうした規制の背景について、内部関係者は本紙の取材に対し「当局はVPNを政権への脅威につながるものと見ている」と明かした。
その背景には、情報そのものへの強い警戒がある。海外のニュースや意見が国内に広がれば、当局がこれまで示してきた説明との食い違いが一気に表面化しかねない。当局にとっては自らの正当性が揺らぐリスクにつながるため、情報の流入そのものを抑え込もうとする動きが強まっている。
技術面でも規制のやり方は変わっている。これまでは特定のアプリを止める方法だったが、いまは通信の中身を見分けて遮断する形に変わり、これまでの回避方法が通用しなくなっているという。
中国ではネット規制が段階的に強化されてきたが、今回の措置はその中でも異例の厳しさといえる。外の世界につながる道は、さらに狭められつつある。
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