世界の軍事費 過去最高に 日本も1958年以来の高水準

2026/04/27
更新: 2026/04/27

スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が4月27日に発表した最新データによると、2025年の世界の軍事支出は、各国の軍拡を背景に過去最高の2兆8900億ドルに達した。インフレの影響を除いた実質増加率は2.9%で、世界のGDPに占める割合は2.5%となり、2009年以来の高水準となった。なかでもヨーロッパの軍事費は14%増と最も大きく伸びた。また、中国共産党(中共)政権による軍事的圧力に対応するため、台湾の国防支出の伸びも1988年以来の高水準を記録した。

地政学的緊張が世界的な軍拡を後押し

SIPRIの軍事支出・兵器生産プログラムの研究員、シャオ・リャン氏は、「2025年の世界の軍事支出は再び増加した。各国は、戦争、不確実性、地政学的混乱が続く中、大規模な軍備増強を進めている」と述べた。

さらに、「現在のさまざまな危機に加え、多くの国が長期的な軍事支出目標を掲げていることを踏まえると、この増加傾向は2026年以降も続く可能性が高い」と指摘した。

世界最大の軍事支出国であるアメリカの2025年の軍事費は9540億ドルで、前年より7.5%減少した。一方、アメリカを除いた世界の軍事費は9.2%増加した。

アメリカの軍事費が減少した主な理由は、トランプ政権がウクライナへの新たな軍事支援を承認しなかったことにある。その直前の3年間において、アメリカのウクライナに対する軍事支援は総額1270億ドルに達していた。ただし、専門家は、この減少は一時的なものだとみている。SIPRIの軍事支出・兵器生産プログラム責任者、ナン・ティエン氏は、「アメリカの2025年の軍事費減少は、一時的な現象だろう」と述べた。

同氏は、2026年にアメリカ議会が承認した国防予算はすでに1兆ドルを超えており、トランプ大統領の最新の予算案が可決すれば、2027年には1兆5千億ドルに達すると説明した。

また、アメリカは西半球での優位性を維持し、中共政権を抑止するため、核戦力と通常戦力への投資も増やしている。

全体として、世界の軍事支出上位3か国であるアメリカ、中国、ロシアの支出合計は1兆4800億ドルに達し、世界全体の51%を占めた。

ヨーロッパとアジアで支出が大幅増

ヨーロッパは、世界で最も軍事費の伸びが大きかった地域である。支出は14%増の8640億ドルに達した。アメリカがNATO加盟国に新たな支出目標を求めたことに加え、安全保障面での「ヨーロッパの自立」を目指す動きもあり、中欧と西欧では冷戦終結以降、最も急激な国防支出の年間増加がみられた。

SIPRIの試算によると、ヨーロッパのNATO加盟29か国の2025年の軍事支出は合計5590億ドルで、そのうち22か国の軍事費は少なくともGDP比2.0%に達した。

ドイツの軍事費は24%増の1140億ドルとなり、GDP比2.3%に達した。これにより、ドイツは世界第4位の軍事支出国となった。ドイツの軍事費がGDP比2%を超えるのは、1990年以来初めてである。

スペインの軍事費は50%増の402億ドルとなり、GDP比は1994年以来初めて2.0%を超えた。

アジア・オセアニア地域の軍事支出は8.1%増の6810億ドルとなり、2009年以来最大の伸びを記録した。

このうち、中国の軍事費は31年連続で増加し、7.4%増の3360億ドルとなった。日本の支出は622億ドルで、GDP比1.4%に達し、1958年以来の高水準となった。

中共政権による軍事的圧力に対応するため、台湾の軍事費も14%増の182億ドルとなり、1988年以来最大の年間増加率を記録した。

インドは2025年、世界第5位の軍事支出国となった。軍事費は8.9%増の921億ドルだった。パキスタンの軍事費は11%増の119億ドルとなった。

戦争が4年目に入るなか、ロシアとウクライナでは、軍事費が政府支出に占める割合がいずれも過去最高を記録した。ロシアの軍事費は5.9%増の1900億ドルで、GDP比7.5%に達した。ウクライナは20%増の841億ドルとなり、軍事費はGDPの40%に達した。

中東情勢と高インフレの影響

中東全体の軍事費はおおむね横ばいで、約2180億ドルだった。イスラエルの軍事費は、ガザでの戦闘が沈静化したことを受けて4.9%減の483億ドルとなったが、それでも2022年と比べると97%高い水準にある。

イランの軍事費は名目上は増加したものの、42%に達する高インフレを差し引くと、2025年の実質支出は5.6%減の74億ドルとなった。イランの軍事費が減少するのは2年連続である。

ただし、SIPRIのズバイダ・カリム研究員は、イランはしばしば「予算外」の石油収入を使ってミサイルやドローンの生産を支えており、公式データは実際の支出を過小評価していると指摘している。

陳霆