ドローン防衛の経済学 再評価すべき火砲の価値

2026/04/20
更新: 2026/04/20

解説

紅海での戦いをはじめとするここ1年の紛争は、海軍が長年気づいていながら、見て見ぬふりをしてきた「冷酷な現実」を突きつけた。もはや対策を先送りにできない段階にまで、事態は追い込まれている。それは、1発100万ドルから2800万ドルもするミサイルでドローンや無人航空機(UAV)を防御することは、持続不可能な「コストの非対称性」を生んでいるという事実だ。

紅海周辺だけでも、フーシ派のドローン攻撃や安価な低性能ミサイルに対する約15ヶ月間の防衛戦で、米軍艦は約120発のSM-2、80発のSM-6、少数のESSM、そして未公表数の極めて高価なSM-3を発射した。その費用は約10億ドル(約1500億円以上)にのぼる。

各ミサイルの単価は以下の通りだ。

SM-6: 430万ドル

SM-2: 240万ドル

SM-3: 改良型のブロック1Bで1190万〜3640万ドル、大幅な性能向上を果たした最新のブロックIIAでは3640万ドル以上

ESSM: 180万ドル

RAM(RIM-116): 90万5000ドル

これらは本来、艦船を撃沈する亜音速・超音速ミサイルや航空機、あるいは沿岸の地上目標を守るために設計されたハイエンドな迎撃ミサイルである。2万〜5万ドルのシャヘド型ドローンや、さらに小型のドローンに対して使用するのは過剰性能(グロス・オーバーキル)以外の何物でもない。駆逐艦が低速のプロペラ駆動UAVを撃墜するためにSM-2やRIM-116を消費するたびに、中古車1台より安いものを仕留めるために、文字通り100万ドルを焼き捨てているのだ。

ここ数年の状況から、非対称な脅威に対し、1発100万ドル以上のミサイルに頼って艦船を守ることの危うさが痛感されている。これを受け、海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦に低コストの対ドローン迎撃装備の導入を開始した。例えば、レイセオン社の「コヨーテ」ブロック2およびブロック3だ。これはマイクロ波や電子戦を用いて一度に複数のドローンを無力化できる可能性があり、回収・再利用も可能なUAVである。これら「コヨーテ」の2つのタイプのコストは10万〜12万5千ドルとされる。

アンドュリル社の「ロードランナーM」はジェット推進式で、より強力なドローンや亜音速巡航ミサイルに対処するよう設計されている。目標に体当たりして爆発するが、何らかの理由で到達前に目標が破壊されたり、誤報であったりした場合には、この50万ドルの「ミサイル・UAVハイブリッド」は艦に戻り、燃料を補給して再出撃することができる。

さらに、2026年初初頭に駆逐艦「カール・M・レヴィン」に搭載された詳細不明の新型発射機は、ゾーン5社の「ホワイト・スパイク」や、新型ミサイル「JAGM(ジャグム)」の派生型をテストしているものと見られている。これらが実用化されれば、1回の迎撃コストは5万〜10万ドル程度に抑えられる。

また海軍は、沿海域戦闘艦(LCS)においても、既存の対地ミサイル「ヘルファイア」や「JAGM」の発射機を対空防衛用に転用しており、これらは1発あたり約20万〜32万5千ドルで運用されている。

これらを既存の多層防御と組み合わせれば、海軍が2万ドルのドローンを撃つために100万ドルのミサイルを使わなければならない回数は減るだろう。確かにこれらのシステムはコストを抑えるが、UAVによる解決策は、敵の同性能のUAVによって相殺(消耗)させられる可能性もある。それでも、これら安価なシステムの配備は大きな前進である。

ドローンを仕留めるより費用対効果の高い方法

さらに大きな前進となるのは、オト・メラーラ(現レオナルド)社の「76/62スーパー・ラピード」砲の採用だ。この砲はすでに紅海でイタリアやフランスの艦船によって、ドローンの撃退に成功している。駆逐艦1隻につき、この小型・高速な「76mm速射砲」を2基搭載すれば十分な防衛が可能になる。標的に向かって軌道を修正するハイテクな「誘導砲弾(DART)」や、目標の近くで爆発して破片を撒き散らす「近接信管付きの通常弾」を使い分けることで、低速な無人機(UAV)やドローンの大部分を容易に撃ち落とせるからだ。

現在のところ、まだ生産規模が小さく効率が悪いため、ハイテクな「DART誘導弾」は1発あたり約2万〜2万5千ドル、一方で特殊な誘導機能のない「通常の榴弾(近接信管付き)」は約1000〜1500ドルである。

実際の戦闘では、イタリアの軍艦がわずか6〜8発の安価な通常弾を「連射」するだけで、フーシ派のドローンを撃墜することに成功している。つまり、ドローン1機を仕留めるコストを、数百万ドルのミサイルではなく、わずか1万ドル(約150万円)程度に抑えたということだ。

しかし、76mm砲弾のコストはさらに下げられるはずだ。現在は特定の注文に応じて少量だけ作る「特注品」のような生産体制だが、これを数十万発のハイテク砲弾(スマート弾)や、数百万発の通常弾(榴弾)といった「大規模な量産」へと切り替えるべきである。そうして量産効果が働けば、価格は劇的に下がる。

海軍が数十隻のアーレイ・バーク級やその他の艦船でスーパー・ラピードを標準化し、数十万、数百万発単位で数年契約を結べば、経済性は劇的に変化する。DARTやボルカーノ・ファミリーの主要電子部品は、レオナルド社の76mm、127mm、155mmラインで共通して使用されている成熟したコンポーネントに基づいている。量産効果により、これらの電子部品のコストは、耐衝撃パッケージを含めても1発あたり1000ドルを大きく下回るはずだ。

現代的な専用量産ラインを構築すれば、1発あたりのコストを5分の1以下に削減でき、DART弾は数千ドル、標準榴弾は数百ドルになる。これにより、ドローン1機あたりの撃墜コストは確実に1000ドルから1万ドルの範囲に収まるようになる。

さらに、76mm砲は4発の亜音速(マッハ0.8)対艦巡航ミサイルによる同時攻撃を退ける能力もあり、艦の対ミサイル防御能力を大きく向上させる。超音速対艦ミサイルに対してはそこまでの効果はないものの、高価な迎撃ミサイルが撃ち漏らした際の最後の防衛線として、2基の砲からの急速連射は超音速ミサイルを撃墜できる相応のチャンスを持つ。

深い弾薬庫と圧倒的な投射量

2基のスーパー・ラピード砲は、砲塔内に約160発(1基あたり80発)の即応弾を保持しており、毎分120発という極めて高い発射速度を誇る。即応弾を撃ち尽くした後も、砲員が手動で給弾することで毎分20〜30発の発射速度を維持できる。つまり、わずか5分間で2基の76mm砲は約400発を撃ち込むことが可能だ。

さらなる利点は、艦内の弾薬庫に数千発の砲弾を搭載できることだ。これらの先進的な砲が持つ極めて深い弾薬庫は、速射性と精度が相まって、大規模なドローンの群れ(スウォーム)に対処することを可能にする。特定の種類のドローンに対抗するために小型ミサイルやUAVを防御層に加えることは合理的だが、それらは波状攻撃を仕掛けてくるドローンの群れに対処するために必要な「弾数(マガジン・デプス)」を備えていない。また、火砲は爆薬を満載した小型ボートや水上ドローンに対しても極めて有効である。

安価なミサイルや無人機(UAV)を防御に取り入れるべきなのは当然だが、現代の「ハイテク大砲(火砲)」が持つ攻防両面の能力を、これ以上低く見積もるべきではない。今の火砲は、弾丸のぶつかる衝撃で標的を砕く「運動エネルギー弾」や、強力な爆発で敵を仕留める「爆発弾」を使い分けることができ、極めて高い能力を秘めているからだ。

現在、米駆逐艦には5インチ砲が搭載されているが、その対ドローン能力は限定的だ。一方で、オト・メラーラの76mm砲と同等の能力を持つ先進的な火砲を開発しようとして、過去数年間にわたり何十億ドルもの巨費が投じられ、その多くは成果を上げずに浪費されてきた。

したがって、すでに他国で成功している技術があるのに、何年も歳月をかけ、何十億ドルもの巨費を投じて「一から同じものを開発し直す」という無駄を犯すべきではない。それよりも、すでに実績のある他国の技術を「ライセンス生産(技術提供を受けて自国で作ること)」する方が、はるかに合理的である。スーパー・ラピードとその弾薬であるDARTやボルカーノは、すでに実戦で証明されている。イタリアやフランスの艦船は、この種の先進的な火砲が、現在の米海軍に欠けている「安価で強力な」攻防両面の能力を提供できることをすでに示した。

天候依存性、射程の限界、電力消費、膨大な設置重量、そしてドローン側がレーザーに対抗して容易に改良され得ることを考えると、レーザー兵器は近い将来において海軍にとっての優れた解決策にはなり得ない。ミサイルが今後も主力であり続けることは間違いないが、技術の進歩により、現代の火砲は現在の艦船に不足している「費用対効果の高い火力」を提供できる段階に達している。

ミサイルを格納する「垂直発射システム(VLS)」のスペースを数個分だけ削り、代わりに実証済みの「ハイテク火砲」を導入することは極めて合理的だ。この火砲は天候に左右されず、コストも安く、艦の守りと攻めの両方を大幅に強化できるからだ。それだけの解決策があるにもかかわらず導入を拒むのは、最前線で命を懸ける水兵たちを危険にさらす行為であり、彼らに対する裏切りに他ならない。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
国防改革を中心に軍事技術や国防に関する記事を執筆。機械工学の学士号と生産オペレーション管理の修士号を取得。