北京市 住宅購入規制を緩和も 価格下落に歯止めかからず

2025/12/29
更新: 2025/12/29

中国の不動産市場は依然として低迷が続いている。2025年12月24日、北京市は新たな不動産政策を発表し、北京戸籍を持たない家庭に対する住宅購入条件を緩和した。複数の子どもがいる家庭は、より多くの住宅を購入できるようになる。しかし、不動産仲介業者は市場の先行きを楽観視していない。その理由は、昨年9月30日以降、北京市はすでに3度にわたり不動産規制の緩和策を打ち出してきたものの、住宅価格の下落傾向がなおも止まっていないからだ。

12月24日、北京市当局は、北京戸籍を持たない世帯に対する住宅購入条件を緩和する旨を通知した。まず、五環内で住宅を購入する際に必要だった社会保険または個人所得税の納付年数は、これまでの3年から2年に短縮される。五環外については、2年から1年に短縮される。

また、2人以上の子どもがいる多子世帯は、五環内でさらに1戸の購入が可能になる。北京戸籍の多子世帯は3戸まで、非北京戸籍の多子世帯は2戸まで購入できるようになる。

さらに銀行は、住宅ローンの金利について、1軒目と2軒目の区別を廃止した。2軒目を購入する際の住宅積立金ローンの頭金比率も、30%から25%に引き下げられる。

不動産仲介業者によると、昨年9月30日以降、北京市はすでに3度にわたって不動産市場の制限緩和政策を実施しているが、それでもなお住宅価格の下落傾向は止まっていないという。

北京市の不動産仲介業者李さんは「去年の9月30日の政策は、所得税と社会保険の納付年数を5年から2年、5年から3年に短縮するという緩和であった。今年の政策では、3年が2年に、2年が1年に短縮される」と述べ、「11月末時点の中古住宅の平均価格は1平方メートルあたり4万2600元で、去年9月30日時点の4万8600元と比べ、およそ15%値下がりしている」と話した。

北京市統計局のデータによると、今年1月から11月までの間における市内の新築分譲住宅販売面積は894.8万平方メートルで、前年同期比で4.6%減となった。北京の仲介業者は、今年は様子見の姿勢が強く、多くの新築物件が売れず、値下げをしなければ販売できない状況だとしている。中古住宅も値引き交渉の余地が大きく、今後も価格が下がる可能性があるという。

北京市の不動産仲介業者である陳さんは「この緩和策による効果は、おそらく去年と同程度であろう。去年の結果としては、10月、11月、12月の取引量が一時的に非常に増えた。現時点では、価格の引き上げではなく、むしろ価格の安定を目的としている。なぜ一気に緩和しないのかというと、まだ時期ではなく、今は価格を引き上げたいわけではないからだ」との見方を示した。

北京の仲介業者は、「政策の緩和は今後も続く見通しで、切実な購入需要がない人は、今はまだ買うべきではない」と警鐘を鳴らしている。

別の仲介業者である房さんは「五環外の制限を緩めたということは、今後半年以内に五環外エリア全体の購入制限が完全に撤廃される可能性が高いということである。これまでの広州や深センでも同じだった。社会保険納付要件を1年に改めてから、6か月も経たないうちに全面的に撤廃された。短期間で取引件数の推移はある程度上向くであろうが、その勢いがどれほど長く続くかは分からない」と指摘した。