米市民権・移民局(USCIS)のジョセフ・エドロー局長は最近のメディア取材で、「反米」の定義について説明した。エドロー氏は、トランプ大統領に反対する発言は対象外であり、それは「反米言論」とは異なると強調した。
米国市民権・移民局(USCIS)は8月19日、職員が福祉申請を審査する際、申請者が「反米主義、テロリズム、反ユダヤ主義の思想を認め、宣伝、支持、または拡散しているかどうか」を考慮する新方針を発表した。
エドロー局長は9月8日、こうした審査はテロ活動の支持者を見極めるためだと説明。そのうえで、トランプ大統領への反対発言は「反米」には当たらず、政権を批判することは「最も米国的な行為の一つ」だと強調した。
米市民権・移民局長ジョセフ・エドロー氏は、「もし人々が『大統領を弾劾せよ』と声を上げても、それは彼らの権利だ」と前置きしたうえで、「しかし、誰かがスローガンを叫び、『米国滅亡』という思想を宣伝する団体を支援して行動する場合は話が異なる」と指摘した。
「両者の間には明確な違いがある。米国内の通常の政治的議論から生まれる思想は、我々の審査対象にはならない」
またエドロー局長は、「この種の審査は従来から一定程度行われてきたが、今回はその範囲を拡大する」と説明した。特に、F1ビザ(学生ビザ)の申請者がH-1B就労ビザやOPT、グリーンカードなど他の在留資格に切り替える際、過去の活動内容を確認する狙いがあるという。
シニア移民弁護士のチェン・チークン氏は、「トランプ政権復帰前から、自身の行動が原因でビザを失効するケースは存在した。現在の申請でも、特定のカテゴリーでは拒否が増えている」と指摘する。
具体例としてB1・B2(商用・観光)やE1・E2(条約国就労・起業)ビザを挙げた。さらに、多くの学生がビザ申請時にSNSなど全ての情報を提出していなかったり、申請書類の質問に完全に回答していなかったりするため、面接や申請時に拒否される可能性があるという。
さらに市民権テストについても変更が検討されている。エドロー局長は、現行のテストは「簡単すぎて暗記で対応できる」と指摘し、2020年に導入された設問数の多い以前の形式に戻す可能性を示した。
エドロー氏はまた、「いずれは標準化されたテストを実施したい」と述べ、その中には「米国人になるとはどういうことか」といったテーマの作文問題を盛り込み、市民権取得に必要な理解をより的確に判断できる内容を目指す考えを明らかにした。
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