スマホやゲームは、際限なく刺激を浴びせてくる。便利さの裏で、子どもたちはすっかり刺激漬けになり、夏休みのあいだに依存は確実に進んでいた。そして新学期、いざ教室に戻ったとき、その反動は隠しようもなく表れる。
台湾で新学期が始まると同時に、教室で落ち着かない子どもたちが増えている。国立台中病院・身心精神科の章秉純(しょう・へいじゅん)主任医師によれば、夏休み明けにスマホやゲームへの依存で受診する小中高生は例年より1割も増えたという。
章医師は「スマホやゲームは脳に強烈な依存を生み、まるで麻薬のように子どもを支配する」と警告する。夏休み中にそうした刺激に慣れた子どもは、教室に戻ると集中できず、授業が退屈に見えてしまう。こうして「夏休み明けの混乱」が、子どもたちの心を揺さぶっている。
さらに章医師は、保護者に対し「強引に取り上げて禁止するのではなく、上手に使い方を導く工夫が必要だ」と助言する。親子でルールを作り、会話やスキンシップを増やして現実の温もりを取り戻させることが、依存を防ぐ最大の処方箋だという。もしネットやゲームを離れると不安や不眠が出る場合は、早めの受診が勧められている。

夏休み明けの教室で落ち着かない子どもたち──それは台湾だけでなく、日本の子どもたちも同じだ。
静かに進行する「ネット依存」という現代の病に、子どもたちは侵されつつある。子どもを責める前に、大人が省みるべきことがある。結局、かまってあげられる時間がないから、その代わりにスマホやゲーム機を与えてしまうのは大人の責任だ。
実際、中国ではスマホを取り上げたり、ゲームを禁じられたことに逆上して親に暴力をふるったり、親を殺害したりする事件が報道されている。薬漬け(スマホ漬け・ゲーム漬け)になり、取り返しのつかない事態になる前に──親は子どもと向き合う時間を取り戻さねばならない。

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