台湾総統直接選挙30年 頼総統「独裁への逆戻り許さず」 民主主義と国家安全の強化を訴え

2026/03/16
更新: 2026/03/16

台湾の頼清徳総統は14日、台北で開かれた「台湾総統直接選挙30周年と民主的レジリエンス研討会」に出席し、台湾の民主化の歴史的意義と国家安全保障の課題について演説した。頼総統は、台湾の民主主義は長年の犠牲と努力によって築かれたものであり、「決して専制独裁の道に逆戻りしてはならない」と強調した。

頼総統は、1996年に初めて実施された総統直接選挙について、台湾政治の転換点となった出来事だと指摘した。その意義として、第一に国民が国家の主人として自らの指導者を選ぶ「主権在民」の確立、第二に専制政治から脱却し民主政治の正当性を確立したこと、第三に、名称が中華民国、中華民国台湾、あるいは台湾のいずれであっても、憲法増修条文に基づき、台湾は既に新しい生命を備えた主権独立国家であることを世界に示した点を挙げた。また、1999年の『台湾前途決議文』の主張通り、中華人民共和国と互いに隷属しないという立場を改めて明確にした。

また、台湾の民主化は自然に得られたものではなく、多くの先人の犠牲と努力によって勝ち取られたものだと強調した。歴史を振り返り、台湾は長い間、統治者から拠点や踏み台として扱われてきた「台湾人の悲哀」を経験してきたと指摘した。

頼総統はその上で、二二八事件や白色テロ、戒厳令下の時代を経て民主化運動が発展した過程に言及し、民主化運動を支えた人物として雷震、彭明敏、そして美麗島事件の当事者や民主進歩党の創設者らの功績を挙げた。さらに、政治改革を進め1996年の直接選挙実現を主導した李登輝元総統に深い敬意を示した。

経済面について頼総統は、かつての馬英九政権が掲げた『633』目標(成長率6%、失業率3%、所得3万ドル)は当時は達成されなかったが、蔡前総統から自身の任期に至る10年間でこれらを段階的に達成したと指摘。民主的な自由開放環境こそが、株価2万3千点超えや高い経済成長をもたらしたと強調した。

安全保障については、中共政府からの圧力が強まる中、台湾は主権と民主制度を守る決意を堅持すると強調した。頼総統は、国防予算の増額や人工知能(AI)を活用した即応型の攻防体系の構築、国防産業の自主開発などを進める方針を示し、台湾の防衛力強化を進める考えを明らかにした。

さらに、中共政府を『境外敵対勢力』と定義した国安高層会議に基づき、武力威嚇だけでなく法律戦やスパイ活動、統一戦線工作といった多面的な浸透工作に対応するため、17項目の戦略を策定したと説明した。また、総統府に「全社会防衛レジリエンス委員会」を設置し、社会全体で国家安全を支える体制を強化していると述べた。

頼総統は、1996年の初選挙当時も中国の武力威嚇によって緊張が高まったが、国民は75%を超える高い投票率で民主主義への固い意志を示したと回想。この精神を継承し、いかなる威脅を受けても決して専制独裁の道に逆戻りしてはならないと訴えた。