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中国 繁忙期が消えた観光業 ホテルは「半額でも客来ない」

「支出は水1本分だけ?」 中国観光地で「ゼロ消費旅行」急増 財布を閉ざす市民の無言の反発

2025/09/07
更新: 2025/09/07

この夏、中国の観光地は人であふれながらも、収入は冷え切ったままだ。「天空の鏡」と呼ばれる名所「チャカ塩湖(青海省)」などでは「今年は一人当たりの支出がミネラルウォーター1本分」と揶揄され、異様な状況が広がっている。

SNSでは「今年の夏は巨大な『行動パフォーマンス』だ。観光地には来るが一銭も落とさない」という皮肉が拡散している。市民たちは無料の博物館や動物園を巡り、食事はインスタント麺を持参し、宿泊は車内泊やテントで済ませる。

若者の間では「20元(約400円)以上は行かない」「入場料20元超の観光地は資本主義の罠」といったフレーズが名言のように広がっている。「行くが絶対にカモられてたまるか」という気迫が漂い、「カモられたら負け組」 という意識のもと、いかに金を使わずに遊ぶかが新たなトレンドとなっている。

 

「貧乏旅行」現象のイメージ。画像は宿泊費を浮かせるため、香港の24時間営業のマクドナルドで夜を明かす中国本土からの観光客の姿(スクリーンショット)

 

もちろん、「財布を閉じる」のは生活苦が背景にある。しかし、それだけではない。観光地で繰り返される「割高な仕掛け」に対して、若者たちは「もう乗らない」という静かな意思表示をしているのだ。

実際、中国の観光地では飲食や土産物が市場価格をはるかに超え、「ぼったくり」と言いたくなる料金設定がSNSで何度もトレンド入りしてきた。こうした不信感の積み重ねが、「財布を開かない旅行」という無言の抵抗につながっているのである。

こうした節約志向は観光地やホテル業界に深刻な影響を及ぼす。かつて「夏休みは観光客であふれる名所」だった重慶や雲南の避暑地でも、宿泊料金を半額以下にしても客は戻らず、今や「繁忙期が存在しない」と言われるほどの落ち込みとなっている。

 

有名な景勝地「黄山(こうざん)」での混雑ぶり。画像(左)は黄山の「公衆トイレ」で夜を明かす観光客、画像右側は黄山のレストラン内の様子(SNSより)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!