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G7首脳 重要鉱物で対中依存脱却へ レアアース供給網の多様化に合意

2025/06/18
更新: 2025/06/18

G7首脳は、カナダでのサミットで、重要鉱物の安定供給と対中依存の低減を掲げた共同声明に合意した。レアアース規制への懸念を背景に、採鉱からリサイクルまで供給網の多様化と国際協調を推進する姿勢を打ち出した。

6月16日、カナダ・アルバータ州カナナスキスのゴルフ場で開催された先進7か国(G7)首脳会議において、各国首脳は2日間の討議を終え、重要鉱物、人工知能(AI)、山火事、量子計算、移民密入国、越境弾圧など6分野にわたる共同声明に合意した。カナダのマーク・カーニー首相は、さらに議長声明の発表を予定している。

本サミットでは、G7各国が重要鉱物サプライチェーンの多様化を通じた「リスク回避」戦略を、主要議題として取り上げ、特に中国への依存度低減に向けた取り組みに注力した。

ロイターが入手した草案によれば、16日、G7首脳は、重要鉱物供給の強化と経済的回復力の向上を目的とした共通戦略の策定に大筋で合意した。

草案では、G7諸国が現在のサプライチェーンに潜む「脆弱性」へ強い懸念を抱いていることが明記されており、各国は依然として、中国がレアアースおよびその他の重要鉱物を戦略的レバレッジ(限られた資源を最大限に活用して、大きな戦略的効果を引き出す手法や考え方)として保持している現状を認識した。

実際、中国共産党が今年4月に、重要鉱物と磁石の輸出を停止した措置は、自動車製造、半導体生産、軍需産業に深刻な供給障害をもたらした。

G7開催中の16日には、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長がレアアース問題に関連して、中国を名指しで批判した。欧州連合が公表したスピーチ原稿では、彼女は「北京が世界のレアアース磁石市場を支配し、それを交渉の切り札として利用するだけでなく、産業競争相手への圧力手段として武器化している」と指摘した。

政治メディア「Politico」によると、フォン・デア・ライエン委員長は、この発言の際、実物のレアアース磁石を手にしており、G7首脳の一人であるアメリカのドナルド・トランプ大統領に対し、中国の貿易不均衡問題への協調対応を促した。委員長は、関税ではなく連携による対応を強調したとされる。

ロイターによると、今回の戦略案には、重要鉱物の供給不足を事前に察知する体制の構築、市場操作に対する協調対応、採鉱・加工・製造・リサイクル経路の多様化などが盛り込まれていた。

G7各国は、安定的な重要鉱物供給の確保が、世界経済の安全保障にとって、不可欠であるという認識を共有し、透明性、公平性、持続可能性を備えた国際鉱物ガバナンス体制の推進を掲げた。

国際エネルギー機関(IEA)が、今年5月に発表した報告書によれば、中国は世界の20種類の戦略的鉱物のうち19種類で主要な精錬国であり、平均して約70%の市場シェアを握るため、レアアースに関しては、中国が世界のレアアース供給チェーンで、絶対的な支配的地位を占めていた。

高杉