ベトナム政府は、中国企業による原産地偽装を排除するための具体策を導入し、アメリカとの関税交渉の進展を図ると言う。
アメリカが最大46%の「相互関税」を課す方針を示す中、ベトナムは、国内で中国企業が展開する「迂回輸出による脱税」を強力に取り締まり、加えて中国への敏感技術製品の輸出管理を強化することで、ワシントンからの圧力を緩和しようとする。
先週、トランプ米大統領がベトナム製品に最大46%の相互関税を課す方針を表明した直後、ベトナム政府は迅速な対応を開始した。
ロイター通信の報道によると、トランプ氏が関税方針を発表して数時間後、ベトナム政府事務局は緊急会議を招集し、中国の関税回避や知的財産権侵害に関するアメリカ側の指摘への対応方針を協議した。
政府事務局は、中枢的な行政機関として各部門を調整し、首相の政策決定と実行を支援する役割を担い、この会議において、貿易省および税関当局に対し、2週間以内に「違法な迂回輸出」を抑制するための具体的計画を提出するよう指示した。
「違法な迂回輸出」とは、中国製品を一度ベトナムに持ち込み、実質的な加工を施さず、あるいは最小限の処理だけを行い、「ベトナム製」としてアメリカに輸出することで高関税を回避する行為である。このような手法は業界内で「原産地偽装」とも呼ばれていた。
報道によれば、一部の貨物船は、ベトナムに短期間停泊した後、加工処理を行わずに原産地証明書を取得し、輸出していた言う。
トランプ政権の貿易顧問ピーター・ナバロ氏は、6日のFOXニュースのインタビューで、
「中国は、ベトナムを活用して迂回輸出による関税回避を行っている」
と主張した。ただし、同氏は具体的な証拠を示していない。
現在、アメリカは中国以外の国々に対して90日間の課税猶予措置を適用しており、ベトナムはこの期間内にアメリカとの交渉を通じて、関税率を22〜28%程度まで引き下げることを目指している。
事情に通じた3名の関係者によれば、ベトナムはすでにアメリカ通商代表部との交渉を開始しており、アメリカ側も、この範囲内での引き下げについて柔軟な態度を見せたと言う。ただし、現時点では合意や正式な協定には至っていない。
さらに、ベトナム政府は、公式ウェブサイト上で「貿易詐欺」への厳格な対処方針を公表したが、その詳細は未発表のままである。
米中間で揺れるベトナム経済
ベトナム経済はアメリカ市場への輸出に強く依存しており、統計データがその傾向を明示した。ベトナム製品の多くは、中国からの原材料に依存しており、近年、中国企業は、ベトナム国内に多数の工場を設置した。その結果、ベトナムは、中国企業にとって、アメリカへの迂回輸出拠点として重要な地位を占めた。
アメリカの主要貿易相手国の中で、GDP比で対米輸出依存度が最も高いベトナムは、アメリカの貿易政策による影響を強く受けやすい。
ベトナム政府は、迂回輸出の取り締まりに加え、米中間の懸案となりうるハイテク製品に対する輸出規制の強化にも乗り出した。
ロイター通信が確認した政府草案によると、「軍民両用物品」には、より厳格な申告および承認手続きが新たに導入される見通しであり、特に半導体などの先端技術製品が対象となると言う。
ベトナム政府は、アメリカに対して協調的な姿勢を示すため、多方面で措置を講じている。その一例として、イーロン・マスク氏が率いるスターリンク衛星通信サービスに対して、ベトナム市場への参入を認可した。
来週には中国共産党の習近平党首がベトナムを訪問し、経済および貿易に関する幅広い議題について協議を行う予定である。関係者の話によれば、今回の訪問中にベトナム政府が中国製商用航空機(COMAC)の旅客機導入を認可する可能性があり、この措置により、将来的にベトナムの航空会社による中国製旅客機のリースや購入が進む可能性がある。ただし、この機種の国際市場での需要は依然として低水準に留まると言う。
一方、今週、ベトナム航空はアメリカのボーイング社との間で航空機購入のための資金調達契約を正式に締結した。この動きは、ベトナムが米中両国との外交および経済関係のバランスを模索している姿勢を如実に示した。
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