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有能すぎる元同僚 王岐山への攻撃の背後 習近平の権力闘争と共産党内の対立

2025/02/23
更新: 2025/02/23

習近平の全面的な攻撃下で孤立無援の状況に置かれた王岐山。オーストラリアに住む中国の自由主義法学者、袁紅氷氏が大紀元のインタビューで明らかにした、共産党内部の最新の動向は何か? 本記事では、習近平が党大会での再選を目指す中、彼が直面する内部の敵対勢力との複雑な闘争に焦点を当てる。

オーストラリアに住む中国の自由主義法学者、袁紅氷氏が最近、大紀元に対して中国共産党内部の争いの最新の動向を明らかにした。袁氏によると、共産党の「紅二代」(革命家の二世)は、習近平が続投することで深刻な社会的・政治的危機が引き起こされると一般的に考えている。そのため、一部の中国共産党(中共)の高級幹部の子弟からなる太子党は、習近平の21回党大会での再選を阻止し、前政治局常務委員・中央規律検査委員会書記の王岐山を後継者として推す計画を立て始めた。このような背景の中で、習近平は王岐山周辺の勢力に対して全面的な粛清と一掃を開始した。

2月21日、袁紅氷氏は大紀元記者とのインタビューで、中国共産党体制内部の情報源から得た話として、習近平がかつて二人三脚で反腐敗に取り組んできた王岐山に対し、定年を超えても中央政治局常務委員に留任させると約束していたと述べた。しかし、習近平の側近である蔡奇らは、王岐山が個人的な野心を持っており、常務委員に留任すれば習近平の権力を脅かす可能性があると考えたため、最終的に習近平はその約束を破り、王岐山を実権のない名目上の国家副主席に任命し、その後、彼を遠ざけ退職に追い込んだ。この出来事が両者の関係悪化の引き金となった。

2017年10月に開催された中国共産党第19回全国代表大会では、王岐山は中央規律検査委員会を離れ、政治局常務委員会からも退任した。当時の王岐山の突然の退任はその理由が不明で、多くの関心を集めた。2018年3月の中国共産党「両会」では、王岐山が国家副主席に就任した。2023年3月の両会後、74歳の王岐山は国家副主席の職を退任し、韓正が後任となった。

3期目に突入した習近平は、中国経済の深刻な低迷に直面している。袁氏によると、習近平は政敵を排除しつつ、官僚たちの財産を没収して経済的な困難を補おうとしているとのことだ。そのため、2021年から習近平は銀行や金融システムの官僚に対して大規模な粛清を始めた。

「大粛清の目的は、彼の権力を維持するだけでなく、官僚たちが蓄積した巨額の富を没収して財政危機を緩和することでもある」と袁氏は述べた。「王岐山は長年にわたり共産党の金融システムと銀行システムで働き、多くの側近を育ててきた。したがって、習近平の行動は王岐山の利益に直接影響を与えることになった。この2つの理由により、王岐山と習近平の間には調整不可能な矛盾が生じている」

太子党は王岐山を擁立しようとしている

袁紅氷氏は、共産党の太子党が習近平の21回党大会での再選を阻止しようとしており、王岐山を習近平の後継者として推す計画を立てていることを明かした。袁紅氷氏は次のように述べている。

「これが習近平が王岐山勢力に対して壊滅的な攻撃を行っている背景だ。現在、共産党内部の争いは白熱しており、官僚に対する判決も非常に厳しい。田恵宇はその一例だ」

袁紅氷氏によると、田恵宇は王岐山の側近であり、彼の家族背景も共産党のベテラン紅二代に属している。習近平はこのような人物に対して死刑執行猶予を言い渡している。一度拘束されると、彼らは特殊な薬物を注射される可能性がある。薬物を打たれた者は、生きてはいるが神経系統はすでに破壊されているとのことだ。

袁紅氷氏は次のように述べている。

「田恵宇のような人物を、習近平は決して死なせないだろう。しかし、一度この種の薬物を注射されると、たとえ釈放されても廃人同然で、神経系統全体が破壊されてしまう。中国共産党の暴政がこの手段を体制内の官僚にまで使用していることは、党内闘争がいかに残酷な段階に達しているかを示している!」

王岐山の旧部が相次いで執行猶予付き死刑判決を受ける

2024年2月5日、中国招商銀行の元頭取 田恵宇が、贈収賄、職権乱用、インサイダー情報漏洩、そして5億元(約103億円)の汚職などの罪で執行猶予付き死刑判決を受け、個人の全財産が没収された。

田恵宇は以前、中国建設銀行で働いており、その当時、王岐山が建設銀行の頭取で、田は王の秘書であった。

田恵宇以外にも、王岐山の旧部下の一人で、中央巡視組副組長を務めた董宏も、2022年に贈収賄罪で執行猶予付き死刑判決を受けた。董宏の失脚は、一時、王岐山の運命に注目が集まるきっかけとなった。1998年以来、董宏は王岐山の有力な助手であった。

王岐山が1998年に広東省党委員会常務委員・副省長を務めていた時、董宏は広東省政府の副秘書長を務めていた。その後、董宏は常に王岐山に従っていた。2020年10月、董宏が逮捕され、調査を受けた。

2024年10月10日、中国人民銀行の元副総裁である范一飛が、執行猶予2年付きの死刑判決を受け、全財産が没収された。判決によれば、執行猶予期間が満了した後、范一飛の刑期は無期懲役に減刑され、終身監禁となり、減刑や仮釈放は認められない。

范一飛は、かつて王岐山が建設銀行を率いていた時代の部下であった。1994~97年、王岐山が建設銀行の頭取を務めていた期間中、范一飛はその財務を担当していた。2022年11月5日、范一飛が取調べの対象となり、2023年6月9日に「双開」、つまり党籍剥奪と公職解任処分を受けた。

王岐山の旧部が次々と調査対象となったことから、一部の観察者は習近平と王岐山の間に争いがあり、中国共産党の最高指導部内での権力闘争が激化しているのではないかと推測している。

王岐山はかつて習近平の古くからの友人であり、パートナー、同盟者でもあったが、王岐山と密接な関係にある「紅二代」(革命家二世)の任志強が2022年9月22日に習近平政権によって18年の実刑判決を受けて以来、習近平が王岐山に対して不満を抱き、さらには王岐山と袂を分かったのではないかと外部では推測されている。

2013~17年にかけての習近平の第一期において、王岐山は習近平の「反腐敗闘争」を支援し、最高権力の獲得に大きな貢献をした。当時、中国共産党の官界では「(腐敗分子は)閻魔大王(自殺)に会うのはまだしも、老王(王岐山による取調べ)に会うのは御免だ」という言葉が広まっていた。

大紀元の専門コラムニストである王友群は、ある評論記事で、もし王岐山が中国共産党第19回全国代表大会で中央政治局常務委員と中央規律検査委員会書記に再任されていたなら、さらに多くの「大物」が逮捕されていただろうと述べている。この状況を防ぐために、第19回党大会の前に、王岐山の政敵たちは王岐山に関する否定的な情報を次々と暴露し、最終的に王岐山は第19回党大会で再任されることはなかった。

記事によると、2018年3月、習近平は王岐山が「反腐敗闘争」での功績を考慮し、王岐山を中国の国家副主席に任命した。しかし、習近平の政敵たちはこれに非常に不満を抱いていた。彼らは習近平の王岐山に対する疑念を利用し、あらゆる手段を尽くして習近平と王岐山の関係を引き離そうとし、王岐山は徐々に遠ざけられた。

独立評論家の蔡慎坤氏は2月21日、大紀元記者に対して、習近平が王岐山に対して行った攻撃は全方位的であると述べた。王岐山が抜擢した官僚たちは遠ざけられただけでなく、彼の最も親しい2人の元秘書も執行猶予付きの死刑判決を受けた。さらに、彼の古い友人である任志強は、WeChatグループで不満を表明したために18年の懲役刑を言い渡された。蔡慎坤氏は、王岐山は現在孤立しており、心の中に深い恨みを抱えているものの、それを発散する場所も表現する勇気もないと語った。

寧芯
徐亦揚