米国家安全保障顧問がインド訪問 懸念される中共による巨大ダム建設プロジェクト

2025/01/05
更新: 2025/01/05

ロイター通信によると、バイデン米大統領は5日、インド総選挙で勝利したモディ首相に電話で祝意を伝え、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)のインド訪問について協議した。ホワイトハウスが発表した。訪問日程には言及しなかったが、サリバン氏は技術分野など共通の優先事項についてインド政府と話し合う予定だという。

ワシントンと西側同盟国は長らく、インドを中国共産党のグローバルな野心を抑制する力の一つとみなしてきた。

サリバン氏の訪問に先立ち、アメリカの高官は次のように述べた。

「インド太平洋地域の多くの場所で、中国が上流に建設したダム、特にメコン川のダムが下流国の環境と気候に破壊的な影響を与える可能性があることを確認している」

昨年12月、中国共産党はヤルツァンポ川下流の大規模インフラプロジェクトを承認した。完成すれば世界最大の水力発電所となり、年間発電能力は3千億キロワット時に達すると予想されている。これに対し、インドとバングラデシュは、この新しい巨大ダムが地域の水文に影響を与え、水資源の緊張を高めることを懸念している。

インドの地政学・戦略専門家は、この巨大ダムが地震の多いチベット高原南東部に位置し、インドプレートとユーラシアプレートが衝突する断層帯上にあり、「世界で最も危険な地域」であると指摘している。さらに、中共のプロジェクトは常に透明性が低いため、インドはこの時限爆弾のような存在が取り返しのつかない災害を引き起こす可能性を懸念している。

インド外務省は金曜日、ヤルツァンポ川での水力発電ダム建設に関する懸念を中国共産党に表明したと述べた。これは下流のインド地域に影響を与える可能性があるためだ。

ヤルツァンポ川は中国国境を出た後、南下してインドのアルナーチャル・プラデーシュ州とアッサム州に流れ込み、最終的にバングラデシュに流れ込む。この川はインドではブラマプトラ川、バングラデシュではジャムナ川と呼ばれている。

アメリカの当局者は、今回の訪問で民生用原子力協力、人工知能、宇宙、軍事許可、中国の経済的過剰生産能力などのトピックも取り上げたいと述べた。

また、サリバン氏はインドが懸念するその他の問題についても訪問中に協議すると付け加えた。別の当局者は、アメリカの当局者が訪問中にダライ・ラマ氏と会談する予定はないと述べている。

インドはアメリカの「主要防衛パートナー」であり、近年緊密な関係を築いており、テロ対策、海上安全保障、中国共産党のインド太平洋地域での影響力への対抗など、様々な問題で協力を深めている。

アメリカ政権交代に伴い、インドは新政権との緊密な関係維持を期待していると表明した。

金曜日、インドのピユシュ・ゴヤル商工相はニューデリーで記者団に対し、インドはトランプ政権との接触を通じて両国の経済関係を強化することを期待していると述べた。

ゴヤル氏は「我々は新しいアメリカ政権と非常に深く実質的な関わりを持つことを期待している」と述べ、モディ首相のリーダーシップの下、インドはオバマ、トランプ、バイデン大統領が率いた政権を含む歴代のアメリカ政権との二国間関係を強化してきたと指摘した。

アメリカはインドの最大の貿易相手国であり、2023/2024年度の二国間貿易額は1180億ドル(約19兆円)を超え、インドは320億ドル(約5兆円)の貿易黒字を記録した。業界関係者は、2〜3年以内に貿易額がさらに約500億ドル(約8兆円)増加する可能性があると推定しており、これは経済協力を強化する大きな潜在性を示している。

陳霆