経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)は9日、2040年を見据えた日本の経済・社会のあるべき姿を示す提言「フューチャー・デザイン2040」を発表。富裕層の所得税負担を拡大して現役世代の負担を減らし、消費税増税などで財源を確保するよう求めている。
社会保障制度に関しては、金融資産への課税強化など、富裕層への応能負担の徹底も打ち出した。提言は来年5月で任期を迎える十倉雅和会長の集大成としてまとめた。
これに対し、楽天グループの創業者で代表取締役会長の三木谷浩史氏は、X(旧ツイッター)で「日本の最高税率は55%で主要国ではダントツ。最高相続税も55%とダントツ。合わせると実質80%。中国よりも高い税金」と述べた上で、「日本から富裕層はいなくなり、海外で起業する人が増えるだろう」と危機感を示した。
「優秀な技術者もビジネスマンもスポーツ選手も日本にはほとんど来なくなるだろう」とも指摘した。三木谷氏はIT企業を中心とした経済団体「新経済連盟(新経連)」の代表理事も務めている。
経団連が増税を提言する理由とは
経団連は、社会保障費用が急増する少子化対策を含めた社会保障制度の財源確保として、消費税増税を「有力な選択肢の一つ」と位置づけている。
また、国債発行に頼る割合が高まっている財政状況において、消費税増税は財政の健全化を図るための手段と捉えている。経団連は、将来の世代に過大な負担を押し付けることを避けるために、現在の世代が適切な税負担を行う必要があるとした。
そのうえ、全世代の国民が負担する消費税は公平性が高いため、経団連は、消費税が生涯所得に対して比例的で、長期的には公平であるとの見方を示した。
消費税増のほか、経団連は富裕層の課税案も打ち出している。所得税の最高税率を現在の45%から55%程度に引き上げるとしている。
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