社会問題 すでに「病院内感染」も

中国・広東省で「デング熱」感染が拡大中 当局は「隠蔽」

2024/10/20
更新: 2024/10/20

9月以来、中国広東省でデング熱が感染拡大している。過去1ヶ月では拡大の勢いは凄まじく、病院は患者で溢れかえっている。

佛山市では40度の高熱を出したデング熱患者であっても病床が足りないため、家に帰るしかない現状だと地元民はいう。

しかし、広東省疾病予防コントロールセンター(CDC)が公表する感染者数(死者ゼロ)をめぐっては民間からは「絶対嘘!」と反発の声も多く上がっている。

 

民間の声「当局はまたも感染実態を隠蔽」

広東省疾病予防コントロールセンター(CDC)は16日、「10月7~13日期間中、全省におけるデング熱感染患者(新規)は2005人、うち重症患者4人、死亡例はない」と公表した。また感染者数を多い順で並べると佛山市(462例)、広州市(436例)、深セン市(209例)となっている。

しかし、この当局の公表した数字に「不信感」を示す現地民は多い。関連トピックスのコメント欄には

「当局はウソをついてる! 本当はもっとひどい状況なのに」

「実際に自分の身の回りで何人もデング熱で死んでるのに、死者ゼロって絶対嘘だろう!」

といった非難が殺到している。

「いまではデング熱の検査をしてくれないし、デング熱と感染確認の場合でも口頭で告げられるだけで書類記載はない」

また「自分で検査キット買って検査する人や個人病院で診察受けた人の数は公式統計に含まれていない」現状があると、多くの現地民が口をそろえる。

ある現地ブロガーによれば「母親の場合、病院からはウイルス感染とだけ告げられた。しかし、処方薬はデング熱治療用のものだった。病床は満杯で入院もできなかった」という。

「政府はデング熱の問題に真剣に取り組んでいない。今年は、の駆除を数回しか行われていないし、これほど深刻な状況であるにもかかわらず、緊急対策を講じていない。やっていることがあるとすれば、情報封鎖なだけ」だと同ブロガーは指摘する。

現地の医療関係者も「感染状況はかなり深刻、病床はない、病院内感染症も広がっている、みんな次は自分の番かと怖くてたまらないよ」と明かしており、状況はかなり良くないようだ。

中国の場合、政府をはじめ、病院や学校など各種公的組織が出すデータや声明ほどあてにならないことは常識である。安定維持や政権安定が最優先で、その次にくるのは利益、庶民の健康問題や経済的損失などどこまでも後回しにされる。

なお、デング熱は、蚊に刺されることによってデングウイルスに感染する疾患で、急な発熱、発疹、頭痛、関節痛、吐き気や嘔吐などの症状を発症する。ほとんどの感染者は1~2週間で好転するが、一部の感染者は重症化し、死亡するケースもある。

現在のところ、デング熱に対する特効薬はなく、治療は症状に応じた対症療法が基本となっている。 脱水予防として、経口による水分補給や点滴での補液が重要となる。

 

広東省で行われている殺菌消毒作業、2024年9月。(SNSより)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!