最近、華人圏のSNSでは、またしても中国共産党(中共)高官の転落死事件が話題になっている。こちらの事件も、中国国内では封殺に遭っている。
転落死したと噂されているのは福建省「医保局」のトップ・林聖魁局長で、今月2日に自宅のあるマンションの9階から飛び降り、即死したという。
関連ニュースのコメント欄に寄せられた声のなかには「これでまた、表に出せない帳簿が消えた」「彼が飛び降りなければ、みんな(同官僚と関わりある者)がなかよく飛び降りる(落馬)しかない」
「たった1人の死で家族全員を救える。その家族はおそらく全員外国に移住しているはずだ、そして財産もとっくに移転し終えているのだろう。1人死んで、その一家は数世代も幸せになれるのだから悪い話でもない」といった「指摘」が圧倒的だった。
というのは、中共の官僚が上から目を付けられて「調査」される場合、当然ながら関係者ひいては家族までもその巻き添えになる。しかし、当の本人が「死んだ」場合、調査はうやむやに済まされ、関係者は胸をなでおろす。これは誰もが知ることである。
現在のところ、噂の真偽を確かめることはできない、関連情報や動画は中国SNSで検索しても表示できなくなっている。しかし、事件に関連する多くの検索ワードはまだ確認できる。こういう場合、たいてい一度は、中国SNSにおいて多くの人が検索し話題となっていたはずだ。今、封殺されていることはそのことを物語っている。
(墜落現場の様子)
官界に蔓延する「恐怖」
近年、中共幹部の「事故死」や村の幹部が庶民によって殺害される事件が頻発している。
過去1か月にいたっては、林聖魁局長を含めて、3人もの高官がたて続けに異常な死を遂げており、「明日は我が身か」という何とも言えない「恐怖」の雰囲気が中共の官界で蔓延している。
「財政庁トップ」殺害
先月19日、中国湖南省「財政庁」の劉文傑庁長(58歳)が殺害された。容疑者の男2人も、劉氏の自宅が入っているビルから「飛び降り自殺」した。
「劉氏は男2人によって縛られ、高層階の窓から投げ落とされて、即死した。男2人もその後に飛び降り自殺した」と複数の中国メディアが報じている。容疑者の1人は同じ省の官僚だったという。
中共当局はこの事件を「強盗殺人」の方向に世論引導しようとしていたが、強盗殺人にしては不自然すぎる現場の状況や関係者によるリークなどにより、ネット上では当局の主張を疑問視する声も多く上がっており、「内部闘争に巻き込まれたのではないか」の説が有力となっている。
「公安トップ」を部下が射殺
「10・1連休」初日である1日、湖南省邵陽市の公安局トップ・李長躍局長は、国旗掲揚儀式の際に部下によって近距離から射殺された。
射殺した「部下」というのは、同公安局所属の特殊警察のチーム・サブ・リーダの段鵬(36)で、段は局長射殺後に、銃を自分に向けて自殺を図ったという。段はかつて複数の「優秀警察」の称号を獲得している現地の有名人だった。
「公安トップ射殺」のニュースはその日のうちに中国のネット上で封殺に遭っている。
「元凶は中共による統治」
海外に亡命した元中共幹部の杜文氏は、「中共の官界において党員同氏の殺し合い、部下が上司を殺害するケースは本当はすごく多い、特に敏感デー前後になると官僚殺し事件はよく起こる。そのような事件は今後、もっと多くなるだろう」と分析する。
「いまや中国において、警察・検察など社会の公平や正義を維持する国家機能は完全に喪失しているどころか、それらはあらゆる社会不正・不公平の元凶となった。下っ端の小役人であっても、庶民を自殺に追い込むほどいたぶることができる。そして、不公平な仕打ちを受けた側の庶民は泣き寝入りするしかなかった、しかし、官僚が人民を殺すのを見慣れた庶民側も官吏を殺すことはないと感じているが、近年は、庶民による抵抗が増えている」
「中共による75年にわたる高圧的な統治は中国のあらゆる階層に多くの恨みを生み出してきた。こうした不満を吐き出す場所がない、蓄積してきたこうした不満はいずれ爆発するだろう」
「今の中国は邪気にあふれ、国民の不満がうずまいている」と杜文氏は指摘する。
「官僚を逃がさない」
華人圏のSNSでは、よく目にする「おもしろ動画」がある。
「中国人の覚醒か」、それとも「金持ちを恨む心か」、いずれにしてもその内容は、「中国庶民の心の声」といわれている動画はこれだ。(下記)
(邦訳)
「もし戦争起きたらあなたは何をする?」
「銃を手に取るよ」
「戦場にでもいくのか?」
「いやいや、違う。私は空港を見張るさ。腐敗官僚、金持ち、専門家、有名人らが国外に逃げるのを阻止するんだ、誰一人として絶対に逃がさないさ」
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