香港ビジネスのリスク増加 米5大部門が警告

2024/09/14
更新: 2024/09/14

米国務省と複数の部門は最近、香港への旅行やビジネスに新たなリスクが存在することを警告する通知を発表した。この警告では、国家安全法に加え、香港でのビジネスが米国のロシアなどに対する制裁に抵触する可能性があるとも述べている。

米国務省、財務省、商務省、農務省、国土安全省は、9月6日に米国民とビジネス界に対してリスク警告を発表し、香港でのビジネスや旅行が人身の安全や法的リスクに直面する可能性があることを警告した。

この警告は、これらのリスクが2020年に香港で施行された国家安全法および2024年に施行される香港基本法第23条に起因していると指摘している。第23条の立法には、国家機密や政権転覆に関する広範で曖昧な条文が含まれており、これが香港での日常的なビジネス活動、例えば中国本土や香港の経済状況の分析、香港政府の政策の研究に影響を及ぼす可能性がある。

さらに、この警告は、米国などの国々が、ロシアに対して制裁を行っていることを指摘し、中国本土と香港が、軍民両用商品をロシアに転送する重要な中継地点であると述べている。

台湾国防戦争と資源研究所の所長である蘇紫雲氏は、香港がすでに中国本土に取り込まれており、現在その管理基準は、中国本土の一線および二線都市とほぼ同じになっていると述べている。

蘇紫雲氏は、「香港はかつて中国本土唯一の開かれた窓口だったが、現在は閉じられた状態にある。その主な理由は、中共が香港を取り込んだからだ。香港の『国安法』が施行されると、関連する外国企業や業者、観光客に対して大きな安全上の懸念が生じ、いつでもスパイ行為や中共の宣伝要求に違反したとして告発される可能性がある。特に、チベット、新疆、台湾などの問題に関しては、いつでも有罪判決を受けるリスクがある」と述べた。

台北大学政治学部の副教授、陳世民氏は、「香港を訪れる際には、スマートフォンを使用する時、必ず香港の無線ネットワークに接続する。これにより、中国の政府機関が、あなたのスマートフォンにアクセスし、過去に中国を批判した発言があったかどうがを確認する可能性がある。そういう内容は、いわゆる香港の『国安法』や『反間諜法』に違反する恐れがある」と述べている。

陳氏はさらに、これらの法律に基づき、追及が過去にさかのぼって行われる可能性があることを指摘している。したがって、香港を旅行することには明らかなリスクが伴う。

また、米国は今年7月のG7サミットで、ロシアの軍需品の半分以上が中国企業によって製造されており、その一部が香港の仲介業者を通じていることを明らかにした。

陳世民氏は、これが香港でビジネスを行う米国企業が、意図せずロシアへの制裁に違反する可能性があることを示唆していると考えている。

習近平が2012年に政権を握って以来、中共は国際関係においてより攻撃的な姿勢を取り、「戦狼外交」を展開し、米国を最大の敵と見なすようになった。その結果、元々競争と協力の関係にあった米中関係は、根本的に変化した。

今年5月に発表されたワシントンD.C.のピュー研究所の報告によると、81%の米国人が中国に対して否定的な見解を持っており、そのうち43%は非常に否定的だ。