未だ主要メディアの取材を受けないカマラ・ハリス 米大統領選の展望は?

2024/08/16
更新: 2024/08/16

8月12日、予期せぬトラブルがあったにもかかわらず、トランプ氏とマスク氏の対談が注目を集めた。ハリス氏の勢いに対して、トランプ氏がどう対応するのか? 

トランプ氏とマスク氏の対談は8月12日の夜に予定していたが、オンラインの混雑とXプラットフォームに対する大規模なサイバー攻撃のため、予定より40分遅れて始まった。

2人の対話はトランプの暗殺未遂事件に触れることから始まり、様々な話題に及んだ。台本は用意しておらず、マスク氏が質問をし、トランプ氏がそれに答えるという形式で、2時間以上にわたり続けた。

ネットインフルエンサーの趙君朔氏は「全般的にはポジティブな印象を持ったが、トランプ氏とマスク氏のインタビューは、最初に期待していたほどのインパクトは無かったと思う」と述べた。トランプ氏の姿勢や主張に目立った変化はなく、対談のスポットはマスク氏だった。

台湾の評論家で、かつて米国共和党のアジア太平洋地区の主席を務めたロス・ファインゴールド氏は、「マスク氏の政治的見解は、今回はっきりとトランプ支持を示していた。彼は明確にトランプ支持を宣言した」と述べている。

「ウォールストリート・ジャーナル」の報道によれば、イーロン・マスク氏が政治資金団体スーパーPAC(政治行動委員会)を介して、トランプ氏が、主要な激戦州で80万人の有権者の支持を集める活動に、力を入れているという。

最新の全米国的な世論調査によると、アメリカの政治ニュースや世論調査の結果をまとめて提供するサイト「リアル・クリア・ポリティクス」のデータでは、トランプ氏がカマラ・ハリス氏に対して5%ポイントのリードを保持している。

しかし、アメリカの政治、経済、スポーツなどのデータを分析するウェブサイト「538」の調査結果では、ハリス氏がトランプ氏に対して2.7%ポイントの優位を示している。

毎回の大統領選で、共和党と民主党、両党がしのぎを削る、ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の3つの重要なスウィングステートにおいては、インディペンデント・センターの調査によると、ハリス氏が僅かにトランプ氏をリードしているという。分析によれば、これはバイデン氏が以前示した不十分なパフォーマンスがマイナスに影響している可能性がある。

趙君朔氏は「ハリス氏がポジティブなメッセージを発信し、エネルギッシュな集会を開催すれば、メディアの注目を集め、支持率をさらに大きく伸ばすことができる」と述べた。

しかし、ハリス氏が民主党の大統領候補に指名されてから、主要メディアの専門インタビューを受けていない状況が続いており、トランプ氏との公開討論もまだ決まっていないため、彼女の政策の詳細はまだ公にされていない。

ロス・ファインゴールド(民主党の元上院議員)氏は「来週開催される民主党全国大会でのハリス氏のスピーチが、彼女にとって大きな挑戦になるだろう」と述べている。

またセント・トーマス大学の葉耀元教授は「ハリス氏は現在の段階で、党内の支持をしっかりと確保することが重要だ」と語る。

ハリス氏はこの週に、自身の政策について詳細を語ると約束し、コスト削減と米国経済の強化を重要な課題として挙げた。

さらに、彼女は最近、チップ収入に対する連邦税の撤廃を検討していることを明らかにした。これは、トランプ陣営が2024年の選挙戦で重視する政策の一つだった。トランプ氏はマスク氏との対談で、ハリス氏が自分のアイディアを盗用したと批判した。

対談を通じて、トランプ氏はバイデン-ハリス政権に対する批判を続け、時折、すでに選挙から撤退したバイデン氏の話題に戻っていた。

趙君朔氏によると「選挙戦の焦点はハリス氏に移っており、世論調査での彼女の追い上げが、トランプ氏に焦りを感じさせているようだ。トランプ氏にとって重要なのは、自身の立場をしっかり保つことだ。ハリス氏が困難な状況に直面すれば、彼女の勢いは自然と弱まるだろう」と分析する。

中国共産党(中共)に関する問題で、トランプ氏はあまり多くを語らなかったが、習近平との関係を良好に保つことの重要性を強調した。また、同氏はバイデン政権が、ロシアを中共寄りにしてしまったことを、外交上のミスと見なしている。

トランプ氏との対談の後、マスク氏はX上での投稿を通して、ハリス氏と対談する意向があることを表明した。