30日、台北で開催された第4回対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)年次総会で頼清徳総統が演説し、「中国(共産党)によるどの国への脅威も、世界の脅威だ」と強調した。中国共産党の脅威について改めて警鐘を鳴らし、防衛の自主性強化と民主国家との連帯を訴えた。
総会には日本を含む23か国と欧州議会から49人の議員が参加し、台湾を訪問した過去最大の議員代表団となった。頼総統は、これほど多くの国際的な議員団の訪問が「台湾に対する重視と支持」を示していると評価した。
頼氏は台湾の防衛について、「戦争を防ぐために備え、平和を達成するために力を持つ必要がある」と述べ、国防の自主性推進、海外からの軍事調達の継続、全国民的防衛システムの構築に取り組む方針を示した。
いっぽう、頼氏は中国との対話の意思も表明。「対等と尊厳の原則の下で、対立ではなく対話を、封じ込めではなく交流を選び、台湾海峡の平和と安定を達成したい」と述べた。しかし、中国共産党政府は頼氏からの対話の呼びかけを拒否している。
IPACは今回のサミットを機に、台湾を40か国目の正式メンバーに迎えた。民主進歩党の范雲立法委員(国会議員に相当)と民衆党の陳昭姿立法委員がIPACの共同議長として加わった。
IPACは欧米日などの国会議員からなる国際的な超党派議連。その主題は、グローバルな覇権主義をとる中国共産党への対策だ。総会には、IPAC共同代表を務める舟山康江参院議員(国民民主党)、中谷元衆院議員(自民党)ほか、音喜多俊衆院議員(日本維新の会)、岩谷良平衆院議員(同)、菅野志桜里元衆議院議員ら日本から9人が参加した。
台湾総会開催には、中国側からの妨害工作があったことも明らかになった。IPACの発表によると、少なくとも5か国8人の議員が、サミット参加を思いとどまらせようとする中国大使館からの電話やメールを受け取っていたという。IPACはこの行為を「民主主義の特権を制限し、台湾の正当な外交交流の権利を否定しようとする厚かましい試み」として強く非難した。
こうした妨害にもかかわらず、IPACは今回のサミットを機に、コロンビア、イラク、マラウイ、ソロモン諸島、ガンビア、ウルグアイの6か国を新たに加え、加盟国を40か国に拡大した。
頼総統は同日、米国関係団体との会合で、「中華民国」「台湾」などの呼称にかかわらず、国際社会が認識しているのは台湾という土地と2350万人の人々であると指摘。中国共産党による武力統一の脅威に対し、国民が団結していく必要性を強調した。
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