「水墨画のような風景」が広がり、川下りの名所として知られる中国南部広西省・桂林市は先月19日、1998年以来の30年に一度の大洪水に見舞われた。
主要河川が警戒水位を3メートル超え、市街地は断水、停電、鉄道駅も病院も浸水し、市内の通信も一度は断たれた。
この洪水については、「人為的に引き起こされたもの」であり、それも「下流の村民への避難通知もないまま、上流でダム放流が行われた」とする指摘がSNS上に多く寄せられている。
町ごと飲み込み、大きな被害をもたらした洪水が引いた頃、「ようやく表れた役人たちに、地元民が痛烈に罵る」動画がSNSに拡散されて、「よくぞ言った!」と拍手喝采を浴びている。
注目の動画のなかには、「麦わら帽子やマスク、手袋を着用し、街中に積み上げられたゴミのようなものに向かって無造作にシャベルをふるう十数人の男女の姿」があった。もちろん、そのそばには撮影班も。
しかし、それら役者一行は、自分たちの「懸命な救済ぶり」を撮影しているのだが、身内のカメラではない場合、つまり地元民が向けるカメラに対して、役者であることがばれないように、顔や体を背けるといった行動をみせている。
(洪水が引いた後の桂林の街で「懸命な救済ぶり」を演じる役人たち)
そんな様子を見た撮影者の女性は怒り心頭で、「あんたらや、洪水が来ていた時はどこにいた? 水が引いたらここでポーズをとって撮影か」と罵る。
「何だ、その犬のような姿勢は? ここに来てシャベルでなに掘ってる?」「みんなみて、この人たちは全員、宣伝をするためにそんなことをやっているだけじゃないか! みんな詐欺師だ、最大の詐欺師だ」
それでも気が収まらない地元民はさらに大声でこう続く。
「ここは広西省桂林市秀峰区九崗嶺小区(団地)だよ、ほらみて、この役人たちは洪水が来ている肝心な時は誰一人、ここにいない。別の団地では住民に対して『洪水を迎える準備をするように』とする通知があったようだが、私たちのところには通知すら来ていないんだ。私たちが水に浸かっていた時、この役人たちは誰一人姿を見せなかった、しかし、みて、今はこうして宣伝工作をやってる」
被災民による現地役人への心からの「罵り」の動画を見た多くの人が「よく言った!」「まさに我々庶民の心の声だ!」と口をそろえ、拍手喝采の声がコメント欄を埋め尽くしていた。
関連動画には、「うちの地元も同じだよ、お偉いさんは災害時はいない。災害の後に来てはポーズとって撮影してまたどっかへ消えていく、何もしないんだ」
「形式主義だ! 官製メディアのなかのお偉いさんはほうきを持って数回掃いて、村民の家の鍋蓋を開けて、布団を触って帰るだけ、決まりきった宣伝パターンにヘドが出る」といったコメントが目立つ。
実際、桂林に限らず、他の被災地でも同様のやらせ宣伝のための「偽りの救災活動」が行われていたことが現地民の告発によって明らかになっている。
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