東南アジア・南アジア 国民が殺されたら戦争だ

フィリピン大統領:中比の衝突でフィリピン人が死亡した場合、戦争に向かう可能性

2024/06/01
更新: 2024/06/01

5月31日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議でフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は、南シナ海で中国との衝突によりフィリピン人が死亡する事態が発生した場合、これは「戦争行為」に極めて近いと警告した。

中国共産党の挑発的な行動に対し、フィリピンは「米比相互防衛条約」を発動する可能性があり、この状況は国際社会にとって深刻な懸念材料である。

アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での基調講演中、中国の海警隊が放水砲でフィリピンの船員を殺害したような事態が一線を越えるかどうか。

そのような場合、フィリピンは「米比相互防衛条約」を発動するかどうかについて問われた際、マルコス大統領は、フィリピン人が意図的に殺害された場合には、フィリピンの反応は強化され、「戦争行為」に極めて近いものになると答えた。

彼はさらに、「私たちの同盟国もこの点に関しては同じ立場を取ると信じている」と述べ、「これまでに負傷者は出ているが、幸いなことに死亡者はまだ出ていない」と続けた。そして、中国共産党の海警船との間において、高まる緊張の中で起きた衝突事故について言及した。

「もし死亡事故が発生した場合は……私たちは断固たる措置を講じることになる。それは一線を越える行為になるのか? ほぼ確実に、そうなるだろう」と彼は力説した。

南シナ海では、中国共産党とフィリピンの間の衝突が増加し、今年3月下旬、中国共産党の海警船が、放水砲でフィリピン船を攻撃した。そして、セカンド・トーマス礁に向かう船で3人の乗組員が負傷した。3月初めには、中国の放水砲攻撃でフィリピンの乗組員4人が、ガラスの破片で傷を負った。

 中国海警局の船はすべて軍隊に属している (Photo by China Photos/Getty Images)

セカンド・トーマス礁は国連が認めるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置しているが、中国共産党はこの地域の主権を主張し、船を派遣してパトロールを行なっている。フィリピンは第二次世界大戦の座礁船を仮のベースにし、そこで補給活動をしているが、それを妨害している。

中国共産党との緊張が高まる中、フィリピンのマルコス大統領はアメリカと関係を強化している。国際社会は、フィリピンと中国の緊張が深刻な事態を引き起こす可能性があり、「米比相互防衛条約」の発動を検討していることを懸念している。これにより、中国共産党とフィリピンの対立は、さらに大きな衝突に発展するリスクがあるという。

今年3月、元アメリカ太平洋軍司令官のジョン・アクイリノ氏は、下院軍事委員会で、中国共産党の軍事的挑発が、フィリピン及びその周辺地域での衝突リスクを増加させていると警告した。

アクイリノ氏は、フィリピンはアメリカの長期的な軍事同盟国で、条約上のパートナーであることを強調した。また、中国共産党が、南シナ海でフィリピンの公務用船舶や航空機に攻撃を仕掛け、人的被害をもたらした場合、フィリピンは「米比相互防衛条約」を発動する権利があると述べた。

「海軍の兵士が殺された場合、フィリピンは『米比相互防衛条約』の第五条を発動できる。これは、政策決定者にとって非常に困難な選択になる」と述べている。

張婷