米マイクロソフト、技術戦争を背景に中国からアイルランドへエンジニア800人を移転へ

2024/05/31
更新: 2024/05/31

アメリカのテクノロジー企業であるマイクロソフトが、中国の子会社からアイルランドに800人のエンジニア移転させる計画を進行中と、複数の報道機関が明らかにした。この大規模な人員移動は、同社のグローバルな研究開発戦略の一環であり、特にAIとクラウドコンピューティング分野の強化を目的としている。

この移転計画は、アメリカと中国の間で高まるテクノロジー戦争の中で、戦略的な意味合いを持つと分析されている。アメリカ政府が先端技術の輸出規制を強化する中、マイクロソフトは中国での業務を縮小し、他地域へ拠点強化を図っている。

移転されるエンジニアたちは、1985年から拡大を続けるアイルランドの首都ダブリンにある技術センターで働くことになる。ダブリンオフィスは現在、マイクロソフトが欧州、中東、アフリカ地域で展開するビジネスの中心地であり、3500人以上の従業員が勤務している。LinkedInも含め、さらに多くの従業員がここで活動する可能性がある。

しかし、この移転は単なる業務の移管だけではなく、従業員とその家族にとって大きな変化を意味する。内部メールによると、マイクロソフトは従業員の家族も含め、アイルランドへの移住意向を確認しているが、住宅支援などの具体的なサポートについては現時点で詳細が明らかにされていない。

アイルランドの不動産市場は既に厳しい状況にあり、特にダブリンでは家賃が国内最高水準を記録している。最新の報告によると、ダブリンでの2ベッドルームアパートの平均家賃は1754ユーロ(約29万7736円)に達しており、これは地元のITエンジニアにとっても高額な出費となる。しかし、AIエンジニアの年収が平均10万ユーロ(約1697万1400円)を超えるなど、技術者の給与水準は高いため、生活費の増加を相対的に抑えることが可能である。

マイクロソフトのこの一大決定は、グローバルな技術戦略において重要な転換点となる可能性がある。一方で、このような大規模な移動には、従業員の適応や地域社会への影響など、多くの課題を伴う。

李俞
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