外務省は16日(火)、毎年恒例の外交青書を発表し、日本が中国共産党、北朝鮮、ロシアの複数の挑戦に直面していることを指摘し、中共(中国共産党)が南シナ海と東シナ海で軍事行動を強化し続けており、日本の安全保障が戦後最も危機的な状況に置かれていると強調した。
青書は、北朝鮮の核・ミサイル開発・発射、ロシアのウクライナ侵攻および露ウ戦争が世界の安全保障に与える影響を指摘している。
また、中国(共産党)の対外的な姿勢や軍事動向に対する懸念が強調されている。中国(共産党)が東シナ海や南シナ海で力による一方的な現状変更を試みており、また日本周辺での軍事活動を継続・強化しているため、日本周辺の安全保障環境は戦後最も厳しく複雑な状況にあると記されている。これは日本の平和と安全、国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦だと示している。
東シナ海においては、中共は尖閣諸島に対する主権を主張し、海上・空中パトロールを強化して日本の反発を招いている。2023年は、屋久島周辺での中共海軍測量艦による日本の領海内航行、日本周辺における中露艦艇による共同航行及び中露戦略爆撃機による共同飛行が前年に引き続き確認された。一方、南シナ海では中国とフィリピンの緊張が高まっている。青書は、南シナ海での脅威に対応するため、日米比の協力を強化することの重要性を強調している。
そして、日本政府は香港の情勢や新疆ウイグル 自治区の人権状況についても懸念している。日本としては、自由、 基本的人権の尊重、法の支配といった国際社会の普遍的価値や原則が中国においても保障れることが重要だとし、首脳会談や外相会談の機会も捉え、これらの状況について深刻な懸念を表明するなど、日本の立場を中共政府に対して直接的に伝達 してきている。
また、外交青書は台湾との関係に触れ、台湾は自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値観と原則を日本と共有する非常に重要なパートナーとしている。日本は特に中国共産党による台湾侵攻を懸念している。地理的な位置関係から、台湾海峡での紛争が発生すれば、日本の安全に直接的な影響が及ぶ可能性がある。外務省は、台湾海峡の平和と安定が、日本の安全保障だけでなく、国際社会の安定にとっても非常に重要であると強調している。
青書によると、抑止力を強化するためには、同じ価値観を持つ国々との連携が必要だ。日米同盟をオーストラリア、インド、NATO加盟国などに拡大する必要がある。
中国共産党は、日本が発表した青表紙の報告書に「断固として反対する」と表明した。中共外交部の林劍報道官は16日のプレス会見で、日本の文書が中国に対する非難や古い決まり文句を繰り返し、中国の脅威を不当に煽り、中国の内政に理不尽に干渉しているとして強く批判し、中国はこれに強く反対するとの立場を明らかにした。
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