ワクチン原料を含む食品を医薬品に…米テネシー州、「ワクチンレタス」法案を可決

2024/04/02
更新: 2024/04/02

米テネシー州議会4日は、ワクチン原料を含む食品を医薬品として表示するよう義務付ける法案を可決した。知事が署名すれば、成立する。

現在、米国の大学ではmRNA(メッセンジャーRNA)を食用植物に植え込む研究が進められており、こうした食品を医薬品として位置付けることで、人体へのリスクを阻止する狙いだ。

法案は3月初旬に下院で73対22の賛成多数で可決された後、3月28日に上院でも23対6で可決された。ビル・リー州知事が署名するかは不明だが、成立すれば、テネシー州はワクチンを含む食品を医薬品として分類する初めての州となる。

法案は、ワクチンは「抗体産生を促す刺激を与え、病気に対する免疫を与える」ことを目的としているとして、ワクチンやワクチン原料を使用した食品を医薬品として分類することを義務付ける。いっぽう、州内でのワクチン入り食品販売を禁止するものではないとしている。

テネシー州のスコット・セピッキー共和党議員によれば、この法案は、店頭で販売される農産物にワクチンが使用されることを懸念して、テネシー州議会に提出されたものだという。

米WKRN-TVが報じたところによれば、セピッキー氏は下院委員会で「(レタスにワクチン原料が入っていれば)どれだけのレタスを摂取すればよいかを、あなたの体型に基づいて確認しなければならない。また、過剰摂取によるリスクもある。したがって、それらを消費したい場合は、医師に相談して処方箋を受け取る必要がある」とし、ワクチンとして作用するように改良された食品を医薬品として分類する必要があると強調した。

地元メディアはこの法案を「ワクチンレタス法案」と呼んでいる。

食用ワクチンの研究者たち

セピッキー氏のコメントは、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究プロジェクトに対するものだ。同大学は病原体を標的にするmRNAを食用植物に植え込むことができるかどうかを研究している。同大学は米国立科学財団から50万ドル(約7600万円)の助成金を受け、この研究を行っている。

米国で最も一般的な新型コロナワクチンは、ファイザーとモデルナのもので、mRNAを使用している。

同大学植物科学部のホアン・ギラルド准教授は2021年のニュースリリースで「私たちはホウレンソウとレタスでこの取り組みを試している。最終的には農家が畑全体で栽培することも可能になるだろう」と述べた

また「理想的には、1つの植物が1人の人間にワクチン接種するのに十分なmRNAを産生することだ」とも付け加えた。

同大学のニコール・スタインメッツ教授も、植物への遺伝子導入にナノ粒子、つまり「植物ウイルス」を使う予定であるとリリースの中で述べている。

いっぽう、同大学がWKRN-TVに語ったところによれば「研究は進行中であり、報告すべき決定的な結果はない」という。

州上院の議場では、この法案の必要性を疑問視する議員もいた。

民主党のハイディ・キャンベル上院議員はワクチン原料を含む食品は非現実的だと指摘し、「テネシー州の小売店や公共の場で、ワクチンを含む食品が提供された事例があるのか」と問うた。

これに対して、共和党のジョーイ・ヘンズリー州上院議員は「食用植物にワクチン原料を導入する技術はすでに研究されている」として、将来それらの植物が販売されるようになった場合に適応する法律だと主張した。

しかし、前出のセピッキー氏によれば、ケンタッキー州のある会社はワクチンとなる抗体ができるかどうかを調べるために、すでに「栽培中のタバコの株に遺伝子組み換えコロナウイルスを感染させている」という。同社は「すでにこれをすぐに実行できる」と述べた。WKRN-TVが報じた。

懸念する議員

昨年、トーマス・マッシー下院議員(共和党)は、レタスやホウレンソウなどの食用植物を改造してmRNAワクチンを製造する「トランスジェニック食用ワクチン」 の開発に連邦政府の資金が使われていると警告した。

また、マッシー氏は植物にワクチンを導入することで食品供給に深刻な影響を及ぼす可能性があるとも指摘した。

同氏は昨年9月の予算法案審議の中で、豚の餌となるトウモロコシに食用ワクチンが導入された事件について言及した。そのワクチンは豚が下痢をするのを防ぐためのものだったが、トウモロコシが大豆と混ざってしまい、約1万3600トンの大豆が汚染され、回収せざるを得なくなった例をあげた。

さらに、遺伝子組み換え作物の花粉飛散により155エーカーのトウモロコシが焼却された例もあるとして、深い懸念を示した。

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。