現存の80%が耐用年数を超過 中国のダムは「水と危険」を貯めている 

2024/01/27
更新: 2024/01/27

中国は「世界で最も多くのダムを保有している」と主張している。ただし、そのことで今、重大な懸念が起きている。

これらの中国のダムや貯水池は、その80%以上が耐用年数を超えている。しかも実際に、甚大な被害をともなうダムの決壊が続いていることは、中国共産党(中共)も認めている。

中国の水利部副部長・劉偉平氏は2023年12月28日の記者会見で、中国にある「約9万8千の貯水池のうち、80%以上が1950年代から70年代に建設された古いものだ。そのため(耐用年数を超過しており)その多くが危険な状態にある」と述べた。

中国水利部が発行する雑誌『水資源水利工程』に掲載された2023年の調査では、1954年から2021年の67年間に3558件のダム決壊が記録されている。

それを年平均にすると「52.3件」となり、国際基準をはるかに上回ると指摘されている。ただし、政治的意図により隠蔽されているケースも考えられるので、現実はもっとひどいともいう。しかも 近年、負傷者や死者を多く出すダム決壊の割合は増加傾向にあるのだ。

ドイツ在住の水利専門家・王維洛氏は、中国のダム問題について、次のように指摘する。

「古いダムを解体撤去するか、それとも維持のために多額の資金を投入し続けるかという問題については、中共は面子のために、ダムの維持・補修に何兆元もの巨費を投じている。しかし、ダムに貯まった水を一気に放流した際に(洪水となって)人々にもたらす危険や財産の損失には無関心だ」

中共が権力を掌握した1949年以来、伝統的な価値観を否定するとともに、神を畏敬せず「人間は自然を征服できる」と思い込んで、ダム建設に異常なほどの力を入れた。

中国で発生する多くの自然災害が、中共の悪政が招いた人災である。

ダム関係の災害について言えば、早くも1975年に、河南省駐馬店市の板橋ダムが決壊した。その時、60以上のダムが連続して崩壊したが、そのうちの2つの中規模ダム(板橋ダムと石漫灘ダム)が決壊したことで水害が発生し、少なくとも24万人が死亡した。

もしも今後、長江の三峡ダムが崩壊すれば、その影響と被害は想像を絶するものになるだろう。

王維洛氏はまた「中国の洪水や地震による被害の多くは、純粋な自然災害によるものではなく、むしろ人災が招いたものだ。(中共統治下の)中国では、人災(の回数)が常に自然災害を上回っている」と批判した。

駱亞