女性が公園で男に刺される 凶行はハサミで30回以上、しかし誰も助けず=中国 広東

2024/01/08
更新: 2024/01/08

2023年12月15日、広東省のある町の公園で、男が子供連れの女性をハサミで30回以上刺すという凶悪事件が起きた。女性は、犯人の男と面識はなく、事件当日のトラブルもなかった。全くの「通り魔事件」であった。

女性は当時、2歳の息子と一緒に公園で遊んでいた。見知らぬ男に母親が繰り返し刺される一部始終を目撃した2歳児は、大泣きをしていた。また女性も周囲に助けを求めたが、そばにいた市民は誰も男の凶行を制止しなかったという。

今月3日、被害を受けた女性の夫である高さんは、中国メディアに対して事件について明かした。女性が刺された理由については、高さんも「全く分からない」という。

「妻は息子と公園で遊んでいた。すると、見知らぬ男が突然、妻に向かって大声で罵倒してきた。妻が、なぜ私を罵るのですか、と尋ねた後、妻は子供を連れてその場を離れた。しかし、それから10分後、男はハサミを手にして、公園の出口近くにある警備室の前で妻に襲いかかった」

「妻は息子を抱きかかえて逃げようとしたが、転んでしまった。男は妻の胸や腹部、頭部、首など、いずれも急所を狙ってハサミで30回以上刺した」

「当時、公園には散歩する市民も近くにいた。しかし妻が大声で助けを求めても、犯人の男を止めようとする人は、最後までいなかった。妻が繰り返し刺されている時、2歳の息子は、その傍でずっとその全てを見ていた。息子は恐怖のあまり、大声で泣いていた」と高さんは説明した。

高さんが現場に駆け付けた時、妻は血まみれで地面にうつ伏せに倒れていたという。傍らには公園の警備員や警察も来ていた。女性はその後救急車で病院に運ばれたが、病院からは「危篤の通知」が下されたという。

その時、犯人の男は現場から逃走しており、警察に逮捕されてはいなかった。事件から約1時間後、男は公園に隣接する未完成のビルの32階から飛び降り、自殺した。

地元警察によると、男の元同僚の話では「男は引っ込み思案で口数が少なかったが、精神的な問題はなかった」という。

夫である高さんは「幸い妻は一命をとりとめたが、これまでにその治療費として2万元(約40万円)以上使った」と語った。

そのほか、病院に3万元(約61万円)の借金をしており、今後も高額なリハビリ費用がかかるため、家庭は困窮している。夫は「妻が刺された後、責任を取ってくれる人は誰もいない」という。

つまり、犯罪被害者である女性とその家庭は、女性が重傷を負わされたばかりか、多額の出費と借金を抱えることになったのである。

事件が起きた公園の責任者によると、事件発生時、警備員は別の来園者が落とした「靴の引き上げ」に出払っていて、警備員室にいなかった。

公園側は「このようなことが公園で起こったのは初めてで、予測できなかったことだ。やれることは、もうやった」という趣旨のことを、公園側に責任はないというニュアンスで話している。

誰もが訪れる公園で、見知らぬ人間に、理由もなく何度も刺された。この理不尽な事件は、ネット上で物議を醸すとともに「自殺前の道連れか」「また社会報復か」「この社会は一体どうなってしまったのか」といった嘆きが広がっている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。