日本の親切な警察官とは「真逆の実態」が中国にはある。とりわけ昨今、中国の交通警察が見せる凶暴さは、もはや「故意殺人」と言ってもよいほどひどいもので、目を覆うようなレベルなのだ。
このほど、またも中国の交通警察がおこなった、まさに目を疑うような一部始終を記録した動画がネットに流出し物議を醸している。「罰金を稼ぐために、ここまでやるのか」と驚きを禁じ得ない。
走るバイクに「警棒を叩きつけ、故意に転倒させる」
2023年11月29日午後、広西省賀州市の道路に面したある店舗に取り付けられた監視カメラが、警官が遠くから走ってきたバイクの運転手をめがけて、思いきり警棒を振り下ろすシーンを捉えていた。
走行中に強打を受けたバイクはたまらず転倒し、運転者もろともコンクリートの路面に激しく叩きつけられた。
その後、運転者は足に重傷を負ったためか、立ち上がることができなかった。運転者が、その後でやってきた救急車のタンカに載せられて運ばれる動画も拡散されている。
中国では、救急車の要請は有料であるし、病院での治療にも高額な実費がかかる。一体このような場合、誰がその責任を負い、治療費その他を負担するのか。
中国においては、それが警棒を叩きつけてバイクを転倒させた交通警察でないことだけは明確である。なにしろ、この警官は「公務執行」したのだから。
(交通警官が、走行中のバイクに警棒を叩きつけ、転倒させる場面)
もはや「故意殺人」のレベル
関連動画をめぐり、ネット上では「ここまでくると故意傷害。いや、故意殺人のレベルだ」「罰金をとるのに、ここまで血迷ったか」といった嘆きが広がっている。確かにこれは、バイクの運転者が命を落としても不思議ではないケースだったろう。
なかには「そのうち、銃を突きつけられかねないね」といった悲観的予測をするコメントもあった。
実は、すでに昨年の時点で、交通警察が3人乗りする電動バイクを止めるのに「拳銃を突きつけている」場面の動画が存在する。(関連動画はこちら)
交通違反を取り締まるのが彼らの職務であるとしても、さすがに相手も銃器をもっている米国ではなし、果たして拳銃を突きつけるほどの必要が本当にあるのかは不明である。
なぜ「拳銃を突きつける」のか?
ただし、そのように拳銃を突きつけてでも、彼らが威嚇する理由はあるらしい。各地の交通警察は電動バイクを恣意的に止め、あれこれと口実を付けて罰金をとったり、なかにはバイクごと押収するケースもある。
交通警察が押収した大量のバイクを「転売」し、副収入を得ていることを指摘する声も少なくない。だとすれば(バイクの3人乗りは交通違反であるとしても)そのバイクを押収するため、あるいは罰金を多く取るために「拳銃を突きつけた」とも考えられる。
つまり、あの拳銃を突きつけた人間たちは、もはや常識的な意味での警察官ではなく「制服を着た強盗」であったのだ。
「あれは拳銃をもった強盗だ」と考えるならば、恐ろしいことだが、むしろ非常に理解しやすくなる。
どこまで続く「交通警察の暴走」
中国の地方政府は今、深刻な財政難のなかにある。その地方政府の傘下にある公安・警察部門も、例外なく「金がない」状態だ。
そこで収入を増やすため、交通取締まり部門が全力で進めているのが、鵜の目鷹の目になって交通違反の理由をつけ、ささいな事にも罰金を科す「公務執行」である。
ところが、この「罰金とり」に躍起になるあまり、なんと警察車両が交通事故を起こす例が中国の各地で多く見られている。そうした事例もふくめて、ネット上では「交通警察による、やりたい放題の違反切符切り」の話題は尽きない。
今回のような「危険過ぎて、もはや故意殺人レベル」と言っても過言ではない、悪質過ぎる事例から、街中で白昼堂々フォークリフトなどの重機を使い、きちんと駐車可能な区画内に駐車していた車を駐車禁止の場所へ移動させ、あえて駐車違反を「作り出して」罰金切符を切るケースもある。
さらには警官が「走るバイクを突き飛ばす」「走るバイクの前に障害物を投げ込む」といった人命を全く無視した「荒すぎる公務執行」も、たびたびニュースになっている。
7月3日夜、福建省厦門(アモイ)市の橋の上で交通取締まりにあたっていた地元の交通警察の車両が、車道を逆走したため、複数の貨物車両の追突事故につながった。その際、交通警察官1名が、通行してきた車両に轢かれる事故も起きている。
4月には南京市の交通警察官2名が、なんと「トンネル内に検問所を設置して」通行してくる車両を止めようとしたところ、トンネルを走行してきた車両によって跳ね飛ばされる事故が起きている。
この事故は一時、中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りし「罰金とるのも命懸けか」とする皮肉まじりの非難が殺到した。
5月、浙江省紹興市の交通警察の中隊長であった陳永虎氏は、明け方に検問所を設置して通行車両を止めようとしたところ、跳ねられて死亡した。
李沐陽氏「これは個人の行為ではない」
冒頭に挙げた、警官が走行中のバイクめがけて警棒を振り下ろし転倒させた事例について、この動画を自身のSNSでシェアした中国時事評論家の李沐陽氏は「これは個人の行為ではない」として、以下のように指摘する。
「この警官は、本当に容赦なく警棒を振るって運転者を地面にたたきつけた。動画の様子からすると、バイクの運転者は足を骨折した可能性がある。このように制服を着た公務員が白昼堂々と市民を襲う凶悪行為は、個人の行為であるはずがない。おそらく中共当局には、そのような行為をとっても法的責任を負わなくてもいい、といった容認政策があるのだろう」
「中共による法輪功学習者への迫害においては『殴り殺しても良い。死んだら自殺とみなす』という邪悪な政策が実際に存在している。そのため、この警官の行動を見ると、中共は法輪功に対する迫害政策と同じことを、今では一般の庶民にも適用したのではないかとさえ思われる」
「共産党統治下の中国では、もはや何が起きても不思議ではない。中共は恣意的に人民を虐待し、殺戮することに喜びを感じている。中共の暴政を倒さない限り、中国人民に安全はない」
李沐陽氏は、エポックタイムズの取材に対して、このように述べた。
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