いま、中国の飲食業界に「閉店の波」が押し寄せている。今年11月以降、中国各地の飲食業界の経営は例年以上に厳しく、閉店した空家テナントがずらりと並ぶ町の光景は、もはや常態化している。
中国の飲食店サイト「紅餐網」が、北京、成都、広東、深セン、上海など各地の飲食店関係者に対して現地取材を行ったところ、今の飲食業市場の実態について、誰もが「冷え切っている。その一言に尽きる」と表現した。
同サイトによると、調査した地域に限らず、いま飲食業市場が「寒い」のは中国のどこでも同じだという。
また、中国の企業データベース「企查查」のデータによると、今年1~10月における全中国の飲食企業の新規登録累計件数は350.1万件で、前年同期より「37.4万件増加している」という。
その一方で、全国の飲食企業の登録抹消累計件数は105.6万件に達している、この数は前年同期の53.8万件の、およそ2倍に当たる。つまり、約3分の1の店は、開業して1年以内に潰れていることになるのだ。
飲食店に深刻な経営難をもたらした原因としては、経済不況に伴う消費の減少傾向のほか、飲食業界に大量の新規参入者が現れたため、競争が激しくなったことなどが挙げられる。
こうした背景から、飲食業界関係者の多くは「今年の経営は、例年よりも厳しい」とため息をついている。
先月閉店した、福建省のあるファストフード店は、今年4月に開業したばかりだった。50平方メートルほどの店舗の家賃は毎月7000元(約14万円)であるが、1日の売上は600元から700元(約1.2万円ほど)しかなかった。材料費や光熱費、人件費などのコストを差し引けば、とても家賃を払えるほどの利益は出せなかったという。
この店は、最終的に経営難で店の譲渡を余儀なくされた。店を譲渡するにあたり、店内のまだ新しい設備を売っても、約5000元(約10万円)ほどにしかならなかった。
結局、開業してわずか半年間で、利益どころか20万元(約400万円)近い損失を出したという。
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