中国で感染症が大流行 北京では隔離施設「方艙医院」を再び使用する病院も

2023/11/27
更新: 2023/11/29

中国各地で今、発熱や肺炎をともなう呼吸器系の感染症が大流行している。

およそ4年前の2019年12月末から、武漢を発生源とする中共ウイルスによる爆発的流行が始まり、世界各国にも飛び火してパンデミックを引きおこしたことは記憶に新しい。

しかし現在、中国で起きている呼吸器系感染症の爆発的流行は、その勢いが全く衰えず、3年以上にわたって猛威をふるった前回の流行を上回るのではないかとも見られている。

3年前の「鉄の箱」が再び登場

そのようななか、北京の病院では、中共ウイルスの爆発的感染が発生した際に作られた「方艙医院」を再び使用し、点滴をおこなう場所として稼働させたことがわかった。

今年8月頃から中国各地で、小学生や幼児を中心に集団的な呼吸器系の感染症が広がり始めていた。しかし、そのことについて中国の公式メディアはほとんど報道していない。

ところが11月に入ると、北京、天津、大連、上海、杭州などの各地の病院は、あふれる患者でごった返しの状態になった。一部の病院では「急診が24時間待ち」など、すでに医療崩壊が目前にあると言ってもよい状況だ。

「学校の生徒の半数以上が感染し、教師も感染している」「子供に限らず、医療従事者や大人の間でも感染が大流行している」といった市民の悲鳴や不安が広がるなか、北京大学第一医院の産婦人科や小児科では今月22日より、臨時の点滴室として「方艙医院」を稼働させたことがわかった。

「方艙医院」というのは、貨物コンテナを積み上げたような、急ごしらえのプレハブ建ての施設である。

病院(医院)と名がついているものの、実際には医療を主とするところではない。3年前からお目見えした「方艙医院」は、コロナ陽性者をとにかく詰め込んで徹底的に隔離してしまえ、という問答無用の「鉄の箱」であった。

悪夢のようなコロナ禍が、また来るのか

つまり「方艙医院」とは、隔離するための施設であって、もとより患者を手厚くケアする医療施設ではない。中国で十分な医療を受けるには、高額な費用を「前払い」させるのが常である。「方艙医院」は全く別のもので、費用は取らない代わりに、コロナ患者を治療せずに隠すための「箱」だったのだ。

簡易な検査で「陽性」と診断されたため、この「鉄の箱」に強制的に入れられ、家族から引き離されたまま、一体どれほど多くの人が命を落としたか。

「方艙医院」での死者数について、当局は把握しているはずであるが、全く公表しないため知る術はない。ただし、中共が公表しないということは「それほど死者数が膨大である」という意味に、限りなく近いとも言える。

付言するならば、気候の寒冷な中国の北方においては、コロナで死亡した遺体の火葬や土葬までの間、氷点下の外気を入れて「遺体の仮置き場」に使われたのも、この「方艙医院」であった。

中国人の記憶に焼き付いた「方艙医院」とは、そうした悪夢にちかい特殊な意味をもつ施設である。

しかし、3年前と同じような「強制的な隔離政策」は、それが全く無意味であることを中国民衆に知られた以上、さすがの中共政府と言えども、うかつに繰り返すことはできないだろう。

今回の感染症拡大を前にして、医療現場だけでなく、中共政府にとっても「万策尽きる」のタイムリミットは、もはや遠くないかもしれない。

 

「方艙医院」はコンテナ型のものが多いが、写真のように、体育館やホールなどの大型施設に大量のベッドを詰め込んだ方艙医院もある。(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)

 

「中共ウイルス」に酷似した症状

現在、中国で流行っている感染症の主な症状は咳、発熱、喉の痛み、嘔吐などであり、中共ウイルス(新型コロナ)の症状と非常に似ている。

しかし当局は、これを新型コロナ(およびその変異株)とは認めず「マイコプラズマ肺炎(中国語:支原体肺炎)」あるいは通常のA型インフルエンザであると主張している。

これに対して、民間では「本当は新型コロナに違いない。当局が、また呼び名を変えただけだ」と疑う声は根強い。

エポックタイムズの取材に応じた北京の病院の小児科医は、「今回の感染の波に、有効な薬品はない。私も感染したが、マイコプラズマ肺炎を治療できる薬を一通り使っても効果はなかった。だからこれは、マイコプラズマ肺炎ではないと思う」と指摘した。

いっぽう、米国のウイルス学の専門家で、米陸軍研究所のウイルス学科実験室主任も歴任した林暁旭博士は「これは、やはり新型コロナの変異株である可能性が高い」と分析している。

また医療関係者の間では「中国における各種の感染症の流行は、過去に中共ウイルスに感染したため免疫系統が損なわれたことと関係があるか、もしくは質の悪い国産ワクチン(中国製)が引き金になっているのではないか」と疑う声も広がっている。

 

大混雑する病院のなか。天井から点滴ボトルを吊っている。(NTD新唐人テレビの報道番組よりスクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。