一体なぜ? 「一帯一路」国際フォーラムで、コロナ検査とマスク義務化へ逆戻り

2023/10/22
更新: 2023/10/22

昨年12月はじめ、中国政府は約3年続いた「ゼロコロナ(清零)政策」を突然解除した。

先日、9月20日から10月8日までの日程で行われた「杭州アジア大会」は、本来ならば、2022年の開催予定であったが、当時はまだ「ゼロコロナ政策」の最中であったため、1年延期されて、今年の開催になったものである。

その1年遅れの「杭州アジア大会」では、中国選手のメダル獲得による国威発揚のほかに、中国政府による「コロナ禍の完全克服」が全世界に向けて強調された。大会の運営にあたるスタッフは、ボランティアもふくめてマスクをしていない人が多かった。

このように、中国においてコロナ禍は「なくなった」はずなのであるが、先日、北京で開催された「一帯一路」国際フォーラム(10/17~10/18)では一転して、ゼロコロナ政策中の昨年に戻ったかのような厳しい防疫措置が講じられた。

同フォーラムの参加者は「24時間以内のコロナ検査証明書」の提示を義務付けられた。18日の開幕式に参加する人にいたっては、24時間以内の検査証明書に加えて「4時間以内の快速検査結果」の提出まで求められた。そのうえ、ブルーの「医療用マスク」の着用を義務づけられたのだ。

SNSには「コロナ検査関連の指示パネルを見ると、まるでゼロコロナ時代に舞い戻ったような錯覚に陥る。何とも言えない複雑な気分だ」と嘆く声も多数寄せられている。

実際、最近では、北京、上海、広州などの大都市をふくむ中国各地で、深刻な肺炎を発症した児童患者が爆発的に増えている。各地の病院では昼夜を問わず大混雑し、十分な医療が行えない危機的な状況が続いている。

病院に患者が殺到している原因について、中国当局は「マイコプラズマ肺炎(中国語:支原体肺炎)やA型インフルエンザ(甲流)のため」と主張する。

中国メディアは「新型コロナによる感染拡大」とは一切言わない。医療現場にも「上からの命令」があるためか、医師がコロナと診断することはほとんどないのが現状だ。診察する医師は皆わかっているはずだが、本当の病名を出せない圧力がかかっているのか。

中国では、表向きは「コロナ禍は克服した」ということになっている。しかし児童をはじめ、大人もふくめて肺炎を発症する患者があまりにも多く、各地の病院は真夜中でも患者であふれかえっているのだ。院内に場所がないため、屋外の木の枝に点滴瓶を吊るして点滴を受ける子供もいる。

そのため民間では「政府が再び隠蔽している。本当は新型コロナだろう。また呼び名を変えただけだ」と疑う声が根強い。「マイコプラズマ肺炎は、本当は新型コロナだ」と内々に話す医師もいるという。

中国当局は、昨年12月初めにゼロコロナ政策の解除を公表した後、国内と世界に向けて「(コロナの)流行のピークは過ぎた」と主張し続けてきた。

そのため、中国におけるコロナ感染の実状はどうなっているのか、ほとんど伝えられることはない。ただし、時折ネット上に流出する市民の投稿から、中国各地では「コロナとみられる感染」がずっと続いていることがわかる。中国のコロナは、決して「清零(ゼロ)」にはなっていないのだ。

「杭州アジア大会」とは打って変わり、わずか9日後の「一帯一路」国際フォーラムでは、非常に厳しい防疫措置が講じられた。しかし、そのようにする必要性や科学的根拠について、中国当局は全く明らかにしていない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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