学校用「パック入り牛乳」から出たドロドロの塊 あやうく子供が飲みそうに=中国 西安

2023/10/08
更新: 2023/10/08

中国では、食品や飲料の品質が非常に低い。それらが時として健康に有害であることは、もはや中国人の日常のなかで周知の事実となっている。

発覚した食品問題はSNSにたびたび投稿されているが、どれを見ても「まさか、ここまで?」と驚かされるような、想像を超えた深刻な現状ばかりなのだ。

これも、その1つであろう。最近、陝西省西安市の学校で、生徒に配られたパック入り牛乳のなかから、おかゆのような「ドロドロの塊」が出てきたという。

SNSに投稿された動画のなかには、生徒の保護者と思われる女性が、パック入り牛乳の内容物を見せながら「どういうことだ。これ(牛乳)は学校が私の子供に配ったものだ」などと訴えている。

ブリックパックの表面には、子供が親しみやすい牛のイラストとともに「純牛奶」「学生飲用奶」の文字がある。中国語の「奶」は乳製品のことなので、これはまさに、学校で生徒に供される専用牛乳なのだ。

この「ドロドロの塊」が何であるか、動画からは分からない。乳タンパク質のカゼインが凝固して「チーズ化」したものであれば、それは腐敗ではないが、そもそも飲料の「牛乳」ではなくなっている。このような食品の変質が、あって良いはずがない。

動画に付けられた字幕の説明や音声によると、この件について、江西省南昌のラジオテレビ局の記者が9月25日に現地の教育部門に尋ねたところ、当該部門の担当者は「子供たちに飲ませる牛乳は正規のメーカーから出荷されたものだ。全て合格品で、品質に問題は存在しない」と主張しているという。

つまり、現地の教育部門は、パック入り牛乳から異物が出てきた原因について説明することもなく、ただ「不存在問題(問題は存在しない)」を繰り返すだけなのだ。

写真で見る限り、牛乳パックには製造日(2023年8月14日)や時刻も記されている。きちんと規定通りに冷蔵されており「品質問題は存在しない」と断言するならば、なぜ「ドロドロの塊」が出てきたのかを誠実に調査すべきであるが、どうしても責任を回避したい当局にその気はなさそうだ。

この件がその後どうなったか動画からは分からないが、いずれにしても、パックの中身を知らずにストローで牛乳を飲んでしまえば、学校の生徒に健康被害が出たことも考えられる。そうなれば、集団食中毒などの大事態に至ることもあり得ただろう。

 

 

いま「中国の食物」と聞いて、多くの中国人が第一に思い浮かべるのは、もはや各種の美食ではなく、さまざまな有毒食品である。

地溝油(ちこうゆ)」が社会問題になったのは、もう20年も前のことだ。これは下水道や排水溝から汲み取った廃油をろ過して「食用油」に偽造した、品質と道徳の両面において「極めて悪質な油」のことである。

恐ろしいことに、この「地溝油」は中国社会に相当蔓延した。現在でも、怪しげな食堂では、まず「油は大丈夫か」と疑ってかからなければならない。

そのほかにも、多くの乳幼児が被害を受けたメラミン入りの毒粉ミルク、毒卵、違法薬物、過剰な残留農薬、カドミウム汚染米など、記憶にあるだけでも「中国の食品」にまつわる危険は尽きない。

2015年に中国当局が公表した「食品安全に関する報告書」のなかで、中国における食品安全事件の7割以上が「人為的な要因によるものだ」と指摘している。

このたび、学校の生徒が口にするパック入り牛乳から異物が出た究極的な「原因」は何か。

その原因は、まさに中国社会における絶望的なほどの道徳欠如であろう。そのことは、責任を負うべき市の教育当局が「品質問題は存在しない」と強弁する、無責任な姿に象徴されている。 もとより、学校の生徒に見せられる姿ではない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。