7月末から8月にかけて中国北部で発生した大洪水により、数百万人が被害を受けた。首都・北京を防衛する精鋭戦車部隊や空軍部隊の基地も洪水で水浸しになり、重装備が台無しになったとの情報もある。中国国内の情報筋によると、精鋭部隊の損失に習近平氏は激怒したという。
装甲旅団が水没、最新鋭戦車も浸水か
国内の情報筋は匿名を条件に取材に応じ、「今回の洪水で涿州が浸水し、この地域に駐屯する66289番部隊が浸水した」と述べた。66289番部隊は首都・北京の防衛を担当する精鋭部隊であり、第82集団軍配下の精鋭装甲旅団だ。
浸水した戦車の種類と被害規模は不明だが、66289番部隊の戦車であれば、中国の主力戦車である99式戦車の改良型である99G式戦車の可能性がある。
被害はこれにとどまらないようだ。情報筋によると、涿州市中心部の低地に位置する航空大隊と保定航空学校も水没した。水位が2~3メートルに達し、航空機も浸水したという。
情報筋は「基地周辺には6メートルの高さの塀が設置されていたが、有刺鉄線などを張り巡らせたものであり、水を防ぐことはできなかった」とし、「警報装置は故障により数日間鳴り止まなかった」と話した。
エポックタイムズは情報筋の話を独自に検証することはできなかった。
米国に亡命した中国人ジャーナリストの趙蘭健氏は、洪水により涿州に駐屯していた中国軍部隊が水浸しになったと主張した。
先月29日、自身のX(ツイッター)アカウントで「複数のルートを通じて確認した」とし、「保定に駐屯する部隊が、ダム放水による洪水で大きな損害を被った」と投稿した。
ダム放水は「雄安新区」を守るためか
軍民ともに大きな被害を出したダム放水だが、その目的は習近平氏肝煎りの都市プロジェクト「雄安新区」を水害から守るためだったという。北京の南西100kmに位置する雄安新区は、東京23区の約3倍にあたる総面積1770㎢の新都市だ。2035年までに合計35兆円の予算が投入される予定だ。
雄安新区からわずか70km離れた涿州地域は都市全体が水没し、数十万人の被災者を出したが、雄安新区はほとんど被害を受けなかった。
このような「差別的」取り扱いをめぐって、中国国内では雄安新区を水害から守るために、当局が意図的にダムを放水し、涿州などの近隣地域を犠牲にしたのではないかと疑う声が上がっている。エポックタイムズの以前の報道では、そのような疑惑を裏付ける内部文書が取り上げられている。
前出の趙蘭健氏は内部情報筋を引用し、習近平氏から河北省当局に「雄安新区を守れ」という特命が下ったと伝えた。河北省当局は命令に基づき、洪水を涿州に誘導する方針を固めたが、いざ習近平氏に承認を求めると、何ら返事を得られなかったという。
緊迫した状況のなか、李強首相は習近平氏に代わって決裁し、その結果、精鋭の装甲旅団が水没した。後にそれを知った習近平氏は激怒したという。
趙蘭健氏は「行政官僚である李強は、涿州に精鋭の装甲旅団が駐屯していることを知らなかったようだ」と指摘した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。