FBIが警戒する中国共産党の浸透工作 著名な親中共華人が逮捕

2023/08/14
更新: 2023/08/14

最近、華僑社会のリーダー達が、FBIの捜査中に証拠隠滅を図ったとして、外国代理人登録の不履行と司法妨害で起訴された。その一例が、7月19日に司法妨害未遂容疑で逮捕されたマイケル・スー(中国名・蘇祖起)であり、彼が外国人諜報員として行動したかどうかは現在も調査中である。

ニューヨークのクイーンズに住むスー氏は、確かに普通の中国人ではない。裁判資料によれば、彼はマンハッタンに、大手金融機関や外国大使館、国連に隣接する「ジャスミン」という名の中華料理店を経営しており、特に国連中国代表部に近いという。

彼のレストランは2018年の『チャイナ・デイリー』英語版の記事にも載り、「『ジャスミン』はマンハッタンのミッドタウンにいる国連外交官に人気がある 」と称賛されている。

蘇氏のビジネスは中華料理店だけにとどまらない。 FBIは現在、彼が所有する仲介機関を調査しており、この機関は中国人学生が米国の名門校に入学する手助けをすると主張している。

裁判資料には、蘇氏の留学仲介会社の名前は記載されていないが、中国の検索エンジン大手百度(バイドゥ)が開発したビジネス検索アプリケーション「愛企査」には、蘇氏の関連会社である上海のレジェンダリー・マイルストーンズ社が掲載されている。

同社はまた、ニューヨーク州フラッシングのルーズベルト・アベニューに登記住所を持っている。アプリによると、蘇氏は同じ住所でまた別の組織――中央アフリカ革新連盟有限会社を登録した。

蘇氏はまた、北米最大の学術・技術・ビジネス組織のひとつと言われる北米華人科学技術産業協会(NACASTC)の会長も務めている。 その登録住所は、中華料理店「ジャスミン」と同じで、「ジャスミン」はNACASTCが主催するイベントの会場としてよく使われている。

昨年8月に蘇氏はグローバル・クライメート・イノベーション・センターを設立し、同年10月にはパキスタンの国連常駐代表に洪水救援金を贈った。

政財界ネットワーク

蘇氏の留学仲介会社である「レジェンダリー・マイルストーンズ」は、そのウェブサイトで、学生を国際的なリーダーシップ・エリートに育成する個別のトレーニングを提供し、海外の上位校への優先入学を推進していると謳っている。

国連インターンシップや大使からの推薦状といった「経歴補強プログラム」も含まれ、それは「ピラミッドの頂点に立つ政財界ネットワークを持っている」からだと説明している。

これらの協力パートナーには、国連、国際通貨基金、グーグル、テスラ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど世界の大企業500社が含まれており、「意欲のある若者にインターンシップや就職推薦を提供できる」と主張している。

海外からの人材招聘

NACASTCはまた、海外の人材を中国へ呼び込むために全面的なサービスを提供することに力を入れていると主張している。

例えば、同社の2016年のブログ記事には、16の中国の大学と、ビジネスとマーケティングを専門とする大企業が参加する大規模な海外人材採用イベントが、ニューヨークとボストンで開催されたと書かれている。

記事では、国外にいる中国人科学者や研究者の誘致を目的とした「千人計画」について特に言及している。その中には

「米帝国にいる今、国に奉仕する心を持っていますか?」

「自分には才能があると思うのに、米国ではその才能を発揮する場がなくて、がっかりしていませんか?」

「中国の『千人計画』をご存知ですか?」

「あなたはそのトップ・タレントの一人になりたいですか?」と書かれている。

また、彼らは高レベルの国際会議を開催しており、参加したセレブリティには、元米国国務長官のコリン・パウエルや元オーストラリア首相のケビン・ラッドが含まれていたという。

現在、サイトは削除されているが、デジタルアーカイブのウェイバックマシンで過去のコンテンツを追跡すると、ジョージ・W・ブッシュ大統領の訪問や、北京市公安局のニューヨーク市警察への訪問を手配したことを示している。

FBIによる逮捕

FBIは起訴状に基づき一連の捜査を行い、蘇氏を逮捕した。

5月頃、蘇氏が中国に帰国する際、出国審査を懸念し、2台のiPhoneを証人に預けた。証人は携帯の内容を米国政府に知られたくないからだと述べている。

蘇氏は7月18日にジョン・F・ケネディ国際空港経由で米国に帰国した後、FBIによる任意の事情聴取に応じ、米国への入学保証が不正な宣伝であったことを認めた。自身の携帯電話について聞かれた際、当時所有していた携帯電話以外は業務に使用していないと述べた。

証人は車で蘇氏をジョン・F・ケネディ空港からホテルまで送る途中、iPhoneをFBIに提供する、大陪審の召喚状を受け取ったことを告げた。すると蘇氏はすぐに証人に携帯の電源を切るよう求めた。

ホテルに到着後、蘇氏は証人を自分の部屋に招き、「もし私と国連職員について聞かれたら、知らないと答えろ」と指示し、その後、何度もトラブルに遭ったことを明らかにしたが、FBIが証人に隠し録音装置を装備していたことを知らなかった。

翌7月19日、蘇氏はジョン・F・ケネディ空港に直行し、午前10時45分発のカタールのドーハ行きの便で米国を脱出する予定だったが、FBI捜査官は飛行機が離陸する前に蘇氏を逮捕した。

逮捕後、FBIは7月22日にニューヨーク東部地区の連邦裁判所に訴状を提出した。

蘇氏は7月31日に5万ドルの条件付きで保釈が認められ、現在は保釈され裁判を待っている。エポック・タイムズは蘇氏の弁護士ダールバーグ氏、留学仲介会社やNACASTCにコメントを求めたが、この報道時点では要請に応じていない。

Olivia Li