以下のような重大事故が中国で起きていることに、どうか日本の読者各位も、十分ご留意いただきたい。
充電しながら携帯電話(スマホ)を操作する、あるいは就寝前にスマホを充電器に繋いだまま朝まで放置してしまうという経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。
なかには、使用中のスマホが異様に熱くなり「このままでは爆発するのでは」と不安がよぎった経験をもつ方も少なくないはず。
余談だが、筆者(鳥飼)も数年前、電車のなかで他の乗客が使用していたスマホが突然白煙を上げ、火を吹いて燃え始めたのを目撃したことがある。けが人は出なかったが、電車は緊急停止した。日本でも、ないとは言えないのだ。
携帯使用中に感電し、意識失う
「充電中のスマホ操作」や「充電器に繋ぎっぱなし」は、メーカーからも推奨されていない。
今月4日、遼寧省瀋陽市に住む17歳の蒋さん(仮名)は、充電中の携帯電話を操作していた際に感電し、体じゅうに大火傷を負うという悲惨な事故が起きた。
中国メディアの報道によると、この日、外出していた蒋さんの母親が帰宅すると、焦げたにおいが充満する寝室の床の上で、意識を失ったまま倒れている娘を発見した。
さいわい蒋さんは一命を取り留めたが、電気ショックにより内臓に深刻なダメージを受けた。また、足の十指が全て焼け焦げたため、足の切断を余儀なくされたうえ、今後は皮膚移植や複数回の手術をしなければならないという。
「携帯を使用していたら、突然、携帯電話からビリビリが伝わってきた。全身が動かなくなり、体じゅう痙攣をおこしたような感じにもなった。その後、だんだんと意識を失った」
蒋さんは後に、そう振り返った。彼女を感電させた携帯電話は、蒋さんの体の上に置かれたままの状態だった。中国は電圧が220ボルトと、日本の100ボルトよりかなり高い。医師の診断によると、蒋さんは約40分間にわたり感電していたという。
この事件を受け、蒋さんがその時使用していた携帯電話の会社「アップル」のカスタマーサービスは、「携帯電話に問題はない。使用された充電器はアップル純正のものではないため、補償することはできない」と回答している。
質の悪い充電器やバッテリーは危ない
このような携帯電話の充電中に起こる「事故」は、実は珍しくない。事故原因の多くは、質の悪い充電器やバッテリーを使用したことが関係しているという。
今年2月7日、広東省深圳市に住む劉さん(女性)は自宅ベッドの上で携帯電話を操作していたところ、枕元に置いてあった別の携帯電話から突然、火花が上がった。
驚いた劉さんは、とっさにその携帯を手で払って床に投げたが、床の白いタイルは火花と煙で真っ黒になったという。さいわい、携帯電話は爆発しなかった。
今年1月6日、湖北省咸寧市の住宅の寝室で火災が起きた。出火原因は、枕元に置かれていた携帯電話が充電器につながれたまま長期間充電されていたことによる、電気のショートだとされている。
昨年11月5日、安徽省安慶市のある市民が、ベッドに横たわって携帯電話を充電しながら操作していたところ、充電器が突然発火した。火は周囲の可燃物に飛び、住宅火災につながった。
昨年10月6日には、貴州省の男性が充電中の携帯電話を操作していたところ爆発し、指が焼けて黒くなる事故も起きている。
「バッテリー充電の最適化」で、すぐに安全確保を
このように「充電しながらのスマホ操作」は、思わぬ大事故につながりかねない。恐ろしいリスクがあるだけでなく、バッテリーの劣化も早めてしまう。
実は、スマホに使用されているバッテリーは「充電しながら、本体を使用する」という使い方に非常に弱いという。充電しながら使用し続けると、内部基板に過剰な負荷がかかるため、端末は熱くなり、画面のフリーズや「勝手な再起動」といった動作不良を起こすこともある。
また、就寝前にスマホを充電器に繋ぎっぱなしにして朝まで放置する人は多いが、これもバッテリーへ負荷をかけてしまうため推奨されていない。
ただしiPhoneは「iOS 13」以降の機種には、「バッテリー充電の最適化」とよばれる過充電状態を防ぐための機能がついている。Androidの場合でも、設定機能によって「最適化」といった項目名を探せば、同様の設定をすることができる。
スマートフォンを電源につないだ時に行なわれる「充電の最適化」をすると、スマートフォンのバッテリーは長持ちするという。
いずれにしても「危険がともなうスマホ使用」は本末転倒である。ご自身のスマホを、今一度ご確認いただければ幸いである。
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