中国共産党の機関紙「人民日報」。そのなかで「本当なのは日付と天気予報だけ」という中国人自身によるブラックジョークが、実は半世紀も前からある。
もともと真実を報道するメディアではなく、党の方針を伝える「紙」だからである。文革期には、この新聞紙を尻の下に敷いたことで紅衛兵に死ぬほど暴行を受けた。
その「人民日報」をはじめ、ウェブサイトもふくむ中国の官製メディアについては、どれも似たようなもので、確かに「日付と天気予報だけは真実」といってもよい。
ただし、もう少し正確にいうと、中国の官製メディアは「ごく少量の事実を意図的に配置し、本当らしく見せながら、大きなウソを宣伝する」のである。
だが、そうした中国メディアにおいて、いまや天気予報までも「捏造の疑惑」が浮上している。なんと、北京の最高気温について、中国の公式サイトの発表する数値が国際的に権威あるサイトと比べて「5℃も低い」ことがわかった。
気温40度?「いや、もっと暑いだろう」
北京など中国の一部地域では最近、明らかに40℃を大きく超える猛暑日が続いた。
しかし、公式に発表された北京の最高気温は、高くてもせいぜい41℃前後にとどまっており、人々の体感温度とはかなりの差があるとして一部の市民は疑問を抱いている。
世界の大気汚染指数(AQI)をリアルタイムで公表する権威あるサイト「世界大気質指数化プロジェクト(The world air quality project) 」において、今月23日の在北京米国大使館観測スポットでは最高気温45℃と表示されていた。
これに対し、中国官製の天気予報サイトでは、この日の北京の最高気温は40℃だった。
この「5℃の差」は、どういうことなのか。ツイッターなどのSNS上には、この両者間の「最高気温の大きな差」に関する話題が、気温の高さに負けず熱くなっている。
官製メディアの「気温」について、「最高気温が40℃以上になると、屋外での作業は中止しなければならない。そのため40℃を超えても、数値通りには報じられないのだ」と指摘する声は多い。
最高気温に限らない「観測データの捏造」
「世界大気質指数化プロジェクト」は、その汚染度をふくむ大気の状態を伝える世界で最も信頼性のあるサイトの1つである。同プロジェクトは、世界60カ国の16,000カ所に設置された観測スポットで観測されたデータを、リアルタイムで公表している。
同サイトの北京にある数十の観測スポットの最高気温のデータは、普遍的に中国の公式サイトより数字が高い。つまり「本当はもっと暑い」ことが新唐人(NTD)テレビの記者、歷澄宇氏の調査でわかった。特に「最高気温が40℃近くになると、中国の公式発表との差が顕著になる」と歷氏はいう。
また、最高気温に限らず、最も有害な大気汚染物質の1つであるPM2.5の数値に関しても同様の傾向がみられる。
「世界大気質指数化プロジェクト」が公表するPM2.5などのデータは、総じて中国の公式サイトが発表する数値より高い、という指摘は多い。
つまり、中国政府は中国の大気汚染レベルを「人為的に低く操作して、発表しているのではないか」という。こうした疑惑を指摘する声がSNS上でも広がっている。
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