【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

中国 反中共スローガンの横断幕が約3時間掲示 中共上層部に衝撃

2025/04/25
更新: 2025/04/25

4月15日、中国四川省成都にある高架橋で、反中共スローガンを掲げた横断幕が約3時間にわたり存在し続けた。警察の対応の遅れが、体制内部の危機や不満を浮き彫りにした。

中国共産党(中共)は近年、統制を強化し、街頭監視を全国に張り巡らせてきたが、成都の繁華街で、三つの巨大な反中共スローガンが掲示され異例の事態が発生した。目撃者によれば、警察の初動対応が極めて遅く、この事態により北京の最高指導部は動揺し、党内に多数の「裏表のある人物」が存在するとの疑念が高まった。現在、中央規律検査委員会および国家安全部が調査を主導し、本来の管轄機関である警察部門は、関与を排除されたと言う。

オーストラリア在住の法学者・袁紅氷氏は、体制内部の消息筋の話として、横断幕は、約3時間後に撤去したと説明したが、中共上層が最も警戒したのは、スローガンの内容そのものよりも、社会安定維持体制が機能不全に陥っている実態であると言う。

横断幕が3時間も 警察の対応に異常な遅れ

4月15日、ネットに投稿された画像には、四川省成都市の茶店子バスターミナル近くに位置する高架橋に、白地に赤字の三つの横断幕が掲げられていた様子が記録されている。スローガンには「政治体制改革なくして民族復興なし」「人民は制約を受けない権力を持つ政党を必要としない」「中国は、誰かに方向を示される必要はない、民主主義こそが進むべき道である」といった強い主張が並び、街灯の光に照らされて明瞭に確認できた。

袁紅氷氏は、車通りの多い場所に設置されたにもかかわらず、最初の2時間は、誰一人として通報しなかったと述べた。その後、巡回中の警官が横断幕を確認し、上司に報告したが、上司はすぐに撤去を命じず、「証拠保存」を理由に現場の維持を指示した。このため、横断幕はさらに30〜40分間掲示され、最終的にほぼ3時間後に取り除かれた。

安定維持体制の機能不全か 党内に「裏表のある人物」蔓延か

中共は、長年にわたり巨額の予算を投じて街頭監視、ネット検閲、警察配置などの社会安定維持体制を構築してきたが、しかし、数億台にもおよぶ監視カメラは異変を捉えられず、警察の対応も著しく遅れたことで、体制全体に麻痺の兆候が現れたと言う。

袁氏は「中共の安定維持機構が正常に機能していないことは明らかであり、警察の対応にも異常な点が多い」と指摘する。彼は、習近平政権が体制内部に広がる「裏表のある人物」や怠慢に対して、深刻な危機感を抱いていると述べた。

本件は、習近平自身の関心を引き、現在は、中共中央規律検査委員会および国家安全部の秘密警察が共同で調査を進め、これにより、警察システムは完全に調査対象から外れ、党上層部が同機関への信頼を喪失していることが浮き彫りとなった。

単一の事件が体制全体の亀裂を象徴 怠慢と不満の表面化

2022年10月、北京・四通橋にて彭載舟(本名 彭立発)が反中共・反習近平の横断幕を掲げた事件は、社会に大きな衝撃を与えた。彭は逮捕後、生死不明となったが、その行動は、全国の民衆に共鳴を呼び、多くの市民が後に続いた。

今回の成都での出来事も、同様に中共上層を驚かせ、「反腐敗」および「国家安全」という二大部門が対応に乗り出した。袁紅氷氏は、これは習近平が抱える政治的危機感の深刻さを如実に物語っていると分析した。

彼は「繁華街でスローガンが約3時間も掲げられ、警察が何も行動を起こさなかったという事実は、体制内部における不満や怒りの存在を示した」と述べた。

袁氏は、今回の事件が、中共の社会安定維持体制の崩壊を象徴しており、習政権への不満や内部の怠慢が顕在化したと指摘し、こうした兆候は、中共体制の政治的安定性に対する重大な警鐘であるとした。

程木蘭
駱亞