チャイナデイリー、米国購読者はわずか340件…収入の大半は中国政府から

2023/05/02
更新: 2023/05/01

この記事の要点は?

  1. 党の舌!中国共産党が米国市場でプロパガンダを広める方法
  2. チャイナ・デイリーは真のニュース組織か、共産党のPR部門か?
  3. プロパガンダ渦巻くチャイナ・ウォッチ、パートナーとして高名な新聞失う
  4. 逆効果?中国のプロパガンダ活動が国際的イメージをさらに悪化させる可能性

日本でも全国紙・毎日新聞を通じて拡散、配布されている中国官製紙チャイナ・デイリーの折込広告「チャイナ・ウォッチ」。米地方紙を中心に今なお挿入されている。トランプ米大統領(当時)が2018年、紙面を装い誤解を与えるとして、この巧みなプロパガンダに警鐘を鳴らしたのは記憶に残る一幕だ。

米中対立が深まる中、ニューヨークタイムズやワシントンポストなど西側大手紙はこの広告契約を解除してきた。日ごとに中国共産党が及ぼす問題の認知が深まるなか、対外宣伝の効果は限定的で、米国の購読者数はわずか340件、広告収入は総収入の2%程度であることが明らかになった。エポックタイムズ記者がその現状をまとめた。

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中国共産党は何年もの間、公式メディアを使って中国と「党の舌」を米国市場に持ち込んできた。その海外プロパガンダ機関のひとつであるチャイナ・デイリーは、合法的で成功したニュース組織のように見える。しかし、財務記録によれば、主に中国共産党によって資金提供されており、真の購読者や収益がないことがわかる。さらに、米国や他の国々での新聞の発行部数は、中国やその操作されたニュース内容に対する懐疑心の高まりによって減少している。

1981年に設立されたチャイナ・デイリーは、北京に本社を置く英語日刊紙で、中国共産党の中央宣伝部が所有し、国務院情報局が監督している。世界の主要都市のほとんどに支局を構えているが、他の国際的なニュースメディアとは異なり、運営収入の大部分は購読や広告で支えられていないのだ。つまり中国共産党の支援で成り立っている。党が期待するリターンは利益ではなく、共産主義プロパガンダの拡散なのだ。

チャイナ・デイリーは公式ウェブサイトで、「20か国以上の世界の主要メディアと協力して『チャイナ・ウォッチ』を発行している」と紹介している。この有料広告である挿入物は、政治家、実業家、学者を含む500万人以上の「意見リーダーとハイエンドな読者」に届く出版物のなかに組み込まれているという。チャイナ・デイリーは、これらの外国メディアを「強力なパートナー」と呼んでいる。


国務院情報局は関連の刊行物でチャイナ・ウォッチを発刊するチャイナ・デイリーについて「海外プロパガンダを行うための重要なツールの1つ」と明言している。

チャイナ・ウォッチは、あたかも中立的で興味深いものに見えるよう巧妙に作られている。読者の注意を惹きつけたのち、プロパガンダをそっと押し出す。

たとえば、2021年11月、タイム誌には中国のイメージや中国共産党の政策に関する礼賛を並べた4ページの紙面からなるチャイナ・ウォッチが挿入された。「梵净山は魅力的な景色で観光客を引き付ける」という記事の後、「外国企業は『レジリエンス』に信頼を置き、中国でより大きな開発配当を得ることを期待している」と入れられている。

また、昨年6月にUSAトゥディに掲載されたチャイナ・ウォッチは、中国の指導者である習近平主席が2015年に米国の学校を訪れた際に、「その生徒たちに忘れがたい想いを残した」と主張していた。


高額なPR

初めて目にした人は
チャイナ・デイリーがマスメディア組織なのか、単に中国共産党の広報部門なのかという問いが浮かぶだろう。後者であることはほぼ間違いない。財務状況が弱いにもかかわらず、中国共産党が海外で請求書の支払いを続けているのだから。

2022年の米国司法省への財務報告書によれば
チャイナ・デイリーは利益を上げていない。高い費用と低い収益にもかかわらず引き続き運営されている。
2つの半期報告書(2021年11月1日から2022年4月30日まで、および2022年5月1日から10月31日まで)によれば、昨年の紙の収益は総額1069万ドルで、そのうち97%が中国政府機関からだった。広告からの収益はわずか24万8000ドルで、購読からは4万1000ドル。年間購読料が120ドルであることを考慮すると、2022年の購読者は341人だけという計算になる。

米国版チャイナ・デイリーの報告書を調べると、収益のわずか0.4%が購読から、2.3%が広告からだった。
中国共産党の資金提供が続かなければ、チャイナ・デイリーは存在し続けることも経費を賄うこともできないということだ。

いっぽう広告費や人件費には相当費やしている。昨年の5月から10月までの間に、チャイナ・デイリーは広告に124万ドル、印刷に116万ドル、送料と配布に111万ドルを費やし、マーケティング費用は28万7000ドルだった。米国の従業員への支払額は60万5000ドル以下だった。

外国代理人法に基づき指定された海外メディアを監督する、米司法省のFARA事務所の書類によれば、チャイナ・デイリーは世界中の複数のメディアおよび印刷会社を通じて、チャイナ・ウォッチを印刷および配布している。

紙のプロパガンダを広める企業の中には、ロサンゼルス・タイムズ、マイアミのサン・センチネル、ボストン・グローブ、ヒューストン・クロニクル、シカゴ・トリビューン、シアトル・タイムズ、ブラジルのサンパウロ・ジョルナウ・ダ・タルデ、アトランタのウォルトン・プレスが含まれている。


FARAの記録によれば、チャイナ・デイリーの米国での支出は急増しており、2009年の上半期の50万ドルから、2019年の下半期以降には500万ドル以上になっている。

いっぽう、この支出にもかかわらず、中国共産党が期待する結果は得られていないようだ。


チャイナ・デイリーは明らかに配布の問題に苦しんでおり、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの高名なパートナーを失っている。
規模縮小は、中国共産党の置かれる国際的な立場と関連しているとみられる。
過去数年間で、中国共産党は新型コロナウイルスのパンデミックで世界に大混乱をもたらし、ウクライナへのロシアの侵攻を支援し、現在は世界中でスパイ気球を浮遊させているとの疑いが持たれている。

3月7日に公表されたギャラップの世論調査によると、中国共産党はロシアを抜いて米国の「最も敵対的な存在」となった。高額な海外プロパガンダ活動を通じて影響を海外に拡大することはますます困難になっている。国際的なイメージや立場を塗り替えることを図っても効果は限定的なようだ。多くの人々が、中国メディアは政府の影響下にあることを認識し、それらを白い目で見ている。


チャイナ・デイリーとそのようなプロパガンダ活動は、中国の国際的なイメージを改善するどころか、実際には逆効果をもたらす可能性がある。透明性と信頼性の欠如という批判に直面し続ける限り、中国共産党の情報操作はますます抵抗に遭うだろう。これは、国際社会が真の情報とプロパガンダを見分ける能力を向上させるとともに、中国と他国との信頼関係を再構築するための取り組みが必要であることを示唆している。