中国・上海で開催中の自動車展示会「上海国際モーターショー」で、独自動車大手BMWのブースに差別的な対応があったとして批判が集まっている。一部暴徒が同社車両を汚したりフロントガラスを叩き割るなどの暴力事件を引き起こした。騒動によって同社株価は20日、前日比で3%下落した。
騒動のきっかけは19日、「BMW傘下ミニの出展ブースで若い中国人女性の案内役2人が、外国人だけにアイスクリームを無料配布した」とする動画がSNSなどで拡散されたためだ。
動画は、女性スタッフ2人が中国人来場者には「アイスクリームはもうない」と伝え冷たくあしらった。しかし別の白人男性には積極的に渡して談笑している、というものだ。
「中国人を馬鹿にして外国人に媚びている」として動画は波紋を広げた。この騒動は中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチの1位と2位を独占し、5億以上のユーザーが言及した。
騒動を受けて、BMW傘下ミニはスタッフ研修の改善を約束した。MINI中国の微博アカウントを通じて、アイスクリームは展示品を見に来た来客全員に配るはずだったと釈明し、謝罪を表明した。
この事態について上海警察は「おおごとではない」と鎮静化を促したが、かえって反発を呼んだ。
読売新聞によれば、21日のショーではBMWブース近くで「中国人には無料!」と叫んでアイスクリームを無料配布する男性まで現れ、会場は一時騒然としたという。
今回の「アイスクリーム騒動」は民族感情にも火をつけた。SNS上には多くのBMW所有者が車を破壊するなどして同社への強い憤りを表す動画が投稿された。ドイツを侮辱する言葉をスプレーしたり、路上に駐車されたBMWの車をアイスクリームで汚すといった嫌がらせも起きている模様だ。
しばしば上海モーターショーでは外国メーカーをめぐって騒動が発生する。2021年には「ブレーキが効かない」と米テスラ車両のボンネットに登って大声を上げる女性が現れる一幕があった。
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