香港警察、「密告用窓口」に約2年半で通報40万件超

2023/02/16
更新: 2023/02/16

中国共産党主導の香港国家安全維持法(国安法)違反を疑う言動に関する通報を受け付ける香港警察の窓口に届いた通報件数は、約2年半で40万件超に上ることがわかった。香港では同法によって市民間の疑心暗鬼が生じ、さらなる自由の萎縮が懸念されている。

香港警察は14日、2022年香港の治安情勢に関して記者会見を開いた。同処長の蕭澤頤氏は、開設から現在までの約2年半の間「国家安全処通報ホットライン」に40万件以上の通報が寄せられたと発表。また、昨年6月に開設された「反テロ通報ホットライン」にも1万3000件の通報があった。

このほか、昨年は同法違反容疑で15歳から90歳までの合計236人を逮捕し、140人が起訴されたと明かした。

通報受付窓口は2020年11月に開設された。国安法違反の疑いのある言動に関する写真や録音、動画を含む情報を中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」やショートメッセージサービス(SMS)を通じて匿名で提供・報告することができる。

香港立法会(議会)の前議員で、民主活動家の許智峯氏は、「国家安全処通報ホットライン」を「恐怖ホットライン」に改名すべきだと指摘。「この数は想像を絶するものだ。40万件の通報があり、1日平均で少なくとも数千件に達する」

香港立法会の前議員の郭栄鏗氏は、通報件数は香港社会における「白色テロ」(反政府運動への体制側の厳しい弾圧)の深刻さを測る指標であると述べた。

人権団体は国安法による弾圧に懸念を表明してきた。アムネスティ・インターナショナルは2021年7月、同法により「疑心暗鬼になった市民の間では、自己検閲する風潮が強まっている」と指摘した。この声明の3カ月後、アムネスティ香港事務所は閉鎖した。

エポックタイムズ記者。『時事ノイズカット』の解説員。