岸田文雄首相は14日の記者会見で、日本を取り巻く厳しい安全保障環境のなかで、GDP比2%も意識しつつ必要な防衛予算を確保し、「5年かけて抜本的に防衛力を強化」する考えを示した。政府は、年末までに国家安全保障戦略などの「戦略3文書」を見直す。
岸田首相は、国内外で有事と言えるほど「大きな歴史を画するような課題が山積」しており、「国際社会において平和の秩序が揺るがされている」と指摘。「日本が国際社会の中で平和を維持し、しっかり対応できるための国際的な秩序づくりに汗をかきたい」と意欲を示した。
防衛費について、岸田首相は「内容と予算と財源と、これを3点セットで年末に向けて国家安全保障戦略等を議論する中で明らかにしていきたい」と述べた。防衛費をGDP比2%に引き上げるか否かについて「数字ありきの議論はしない」と明言しつつ、「NATOにおけるGDP比2%という数字も念頭におきながら、我が国として5年かけて防衛力を抜本的に強化する」とした。
防衛力強化の分野として、自民党の国家安全保障戦略にある「弾薬の確保等による継戦能力の維持とか、AI、無人機、量子技術等の先端技術の早期実用化、さらには防衛生産・技術基盤や人的基盤の強化、加えて反撃能力の保有」などを参考例に挙げた。
憲法改正にも前向きな姿勢を示した。「国会において議論をまずしっかりと深めて、内容において3分の2の賛同を得る取組を進めていかなければならない」とした上で、「先の通常国会においても、憲法をめぐる国会での議論は活発化してきている」とし、「秋に臨時国会が開催されるとしたならば、よりこの議論を活発化」することを期待していると述べた。
岸田首相は、今回の参院選における自民党の勝利について「戦後最大級の難局から日本を守り、未来を切り拓(ひら)けとの国民の皆さんからの叱咤(しった)激励である」と受け止めていると述べた。そして「国民の皆さんから頂いた力は、政治の安定を実現し、大胆に政策を決断、実行し、これらの課題に立ち向かっていくための力」であると強調した。
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