中国軍、AI分野で米半導体に大きく依存 禁輸措置は「不十分」=米大学調査

2022/07/04
更新: 2022/07/04

米ジョージタウン大学の政策研究機関、安全保障・先端技術研究センター(CSET)の最新報告書は、人工知能AI)分野での技術進歩を図る中国軍は米国のハイエンド半導体に依然として大きく依存し、継続的にアクセスしていると指摘した。

6月29日に公開された報告書は、トランプ前政権とバイデン現政権が中国軍への技術輸出規制に積極的に取り組んでいるにもかかわらず、中国軍は米国企業が設計し、台湾と韓国で製造しているAIチップを発注しているとした。

報告書は、中国軍が米政府の認可を受けた販売代理店、中間チップサプライヤー、ペーパーカンパニーを通じて半導体チップを入手していると示した。

研究チームは、2020年3月30日~12月1日までの中国軍の公的調達記録2万1088件を入手した。中国軍が購入した97種類のチップのいずれも、Intel、NVIDIA 、Micorosemiなど米半導体企業が設計したものであると判明。

これらのチップは、中国軍のサイバー戦や電子戦を担う戦略支援部隊(SSF)、軍の最高学術機関である軍事科学院、宇宙開発を行う国営企業などへ供給されている。

いっぽう、研究チームは、中国軍が中国半導体メーカーが設計するAIチップを調達していることを示す公的記録について「一切見つからなかった」とした。

CSETは、「現行の政策では中国軍による米国のチップや技術の獲得を制限するのに不十分だ」と指摘した。

報告書は、米政府の禁輸措置対象リストに入っていない中国の学術機関や民間企業を介して、米国のAIチップを購入するケースが多いとした。

報告書はこうした中間チップサプライヤーを徹底的に取り締まると同時に、中国に対してAIチップを全面的に禁輸することを提言した。

(翻訳編集・李凌)