アメリカ政治 トランプ氏は、ロシアとウクライナの間の和平の確立はイスラエルとハマスの間の和平よりも困難な仕事になるだろうと考えている。

トランプ次期大統領 選挙後初の記者会見で幅広い政策を表明

2024/12/18
更新: 2024/12/18

次期大統領に選出された後、トランプ氏は12月16日、初の記者会見を私邸マール・ア・ラゴで開催した。会見では、ロウ戦争やドローン目撃など、多岐にわたるトピックが取り上げられた。

トランプ氏は、米保健福祉省(HHS)による子供向けワクチンの再評価計画、フロリダ州知事ロン・デサンティスによるララ・トランプ氏の上院議員任命の可能性、起訴されているニューヨーク市長エリック・アダムス氏への恩赦、さらには国境の壁問題についてもコメントした。以下は、記者会見での主なポイント7点。

ケネディ氏によるワクチン報告書の作成

トランプ氏は、厚生(保健福祉省)長官に指名したケネディ・ジュニア氏と製薬大手ファイザー、イーライ・リリーの幹部と最近夕食を共にしたと明かした。同氏は、自閉症の診断率が上昇していることへの懸念を示し、このグループが「自閉症を調査し、その原因を明らかにする」ことを目指していると述べた。なお、ワクチンと自閉症の関連性を示唆した最初の論文は撤回されており、その後の研究でもワクチンと自閉症との因果関係は確認されていない。

ケネディ氏は過去に幼児期のワクチン接種を批判し、一部のワクチンが子供や大人の自閉症率の上昇につながると主張してきたが、トランプ氏は「ケネディ氏にはワクチンを撤回するのではなく、報告書を作成してもらいたい」と述べた。

この報告書は、コスト削減の導入や「深刻な議論の開始」、例えばワクチン中の農薬制限などに役立つという。

トランプ氏は、「ケネディ氏は思ったほど過激ではないと思う。非常にオープンな考えを持っている。薬価をこれまでにないほど引き下げる」と述べた。また、小児麻痺ワクチンの有効性を信じる一方で、学校が子供にワクチン接種を義務付けることには反対の立場を示し、それをコロナワクチンの義務と比較した。

一方、米疾病予防管理センター(CDC)が発表した報告書では、小児麻痺ワクチンのような予防接種の義務化が病気の予防と制御に必要不可欠だとしている。

フロリダ州上院議席に関する考え

トランプ氏は、デサンティス州知事がララ・トランプ氏をルビオ氏の空席となるフロリダ州上院議席に任命する可能性について、「おそらくないだろう」と述べ、自らの関与を否定した。

「デサンティス氏は良い仕事をしている。それは彼の判断であり、私には関係のないことだ。デサンティス氏がその決定を下し、適切な判断をするだろう」

報道によると、デサンティス氏は副知事のジャネット・ヌニェス氏、フロリダ州司法長官のアシュリー・ムーディー氏、元フロリダ州議会議長のホセ・オリバ氏など、複数の候補者を検討しているという。正式な任命手続きはトランプ氏の就任後になる見通しだ。

SNS上では、多くのトランプ支持者がデサンティス氏にララ・トランプ氏を任命するよう求めている。一方で、トランプ氏は、現在国防長官候補として指名しているピート・ヘグセス氏が上院の承認を得られなかった場合、デサンティス氏を国防長官に指名する可能性も模索していると伝えられている。

ドローン目撃情報

最近、ニュージャージー州、ニューヨーク州、メリーランド州、ペンシルベニア州などでドローンの目撃情報が相次ぎ、議論を呼んでいる。この件について、複数の政府機関は、一般的な航空機の誤認や民間ドローンの操作が原因とする見解を示した。

トランプ氏は「政府は何が起きているのかを把握している。軍はドローンの出発地点を把握しているはずだ。もしガレージから飛び立ったなら、そのガレージに直行することができるはずだ」と語った。

飛行物体の目撃報告について、「政府はどこから来てどこへ行ったかを知っているはずだ。軍も大統領も知っていることを、なぜ隠すのか分からないが、人々を緊張させるよりも正直に説明した方が良いだろう」との考えを示した。

トランプ氏は、目撃された物体が外国の敵対勢力によるものとは考えにくいとし、政府に対して正直に情報を公開するよう促した。また、ニュージャージー州ベドミンスターにある自身のゴルフクラブ上空でも最近目撃情報があったことに言及し、事態への関心を示した。

習近平とネタニヤフ首相との協議

中国共産党の習近平党首が来年1月のトランプ氏の就任式に出席しない可能性について尋ねられると、トランプ氏は「この件について具体的に話していない」とし、出席するかどうかはわからないと述べた。

「米中が協力すれば、、世界のどんな問題も解決できる。それほど重要な関係だ」と強調し、習は「素晴らしい人物だ」と語った。

また、イスラエルのネタニヤフ首相との最近の会話についても触れ、「非常に良い会話だった」と評価。

「本格的な会話は1月20日から始まるだろうが、中東における状況は良い方向に進むと考えている」と自信を見せた。

さらに、就任日までに人質が解放されなければ「地獄のような状況になるだろう」と警告し、強硬な対応を示唆した。

ロシア・ウクライナ平和は中東より困難

トランプ次期大統領は、ロシアとウクライナの間で和平を成立させることは、イスラエルとハマスの間の和平を達成するよりも難しいと述べた。また、ウクライナが米国製の長距離ミサイルをロシア領内で使用する許可を得たことについて反対の立場を示し、ウクライナのゼレンスキー大統領に「合意を結ぶ必要がある」と話した。

「ロシアとウクライナの状況は、私にはより困難に思える。ロシア領内に200マイルもミサイルを撃つことを許してはならなかった」と指摘した。

さらに、トランプ氏は、バイデン大統領によるミサイル使用許可がロシアに北朝鮮兵士を招集させ、ウクライナとの戦闘に投入する結果を招いたと述べた。

トランプ氏は「あまりにも多くの人が殺されている」と非難し、ロシアのウクライナ侵攻の背景にはインフレが高すぎることも影響していると語った。

ニューヨーク市長への恩赦の可能性

トランプ氏は、連邦汚職調査の結果、9月に刑事訴追されたニューヨーク市長エリック・アダムス氏に対する恩赦の可能性についても言及した。アダムス市長が抱える事案の詳細をすべて把握しているわけではないとしながらも、「恩赦の可能性を検討する」と述べた。

トランプ氏は「アダムス氏は非常に不公平に扱われたように思える」と語った。アダムス氏がトルコ航空などから国際航空券の割引を受けたとの告発について、これを記者が航空会社のアップグレードを利用するのと同程度のことだと例えた。

「飛行機でアップグレードされるような話だ。ここにいる皆さんも一度はアップグレードされたことがあるだろう」

また、「それが理由で一生刑務所に入ることになるのは、不合理だと感じる」と述べた。

アダムス市長への起訴状では、「外国人に便宜を図る見返りとして不正な利益を受け取った」疑惑が含まれる。アダムス市長は無罪を主張している。

9月にトランプ氏はアダムス氏を「誠実な人物」と評し、アダムス市長もトランプ政権の2期目で協力する意向を示していた。

国境の壁差し止め

トランプ次期大統領は、バイデン政権が未使用の米墨国境の壁の資材を急いで売却しているとの報道を受け、「本当にひどいことだ」と非難した。

「壁の建設には膨大な費用がかかっている」とトランプ氏は述べ、「この壁は国境警備隊が設計し、登るのが非常に難しい仕様になっている。我々は571マイルの壁を設置した」

同氏は「彼らは私たちがその資材を使用するつもりであることを知っている。資材がなければ、再建しなければならない。当時の倍のコストがかかるだろう。それは何億ドルもする費用だ」と語った。

トランプ氏は、テキサス州司法長官のケン・パクストン氏や、テッド・クルーズ上院議員、ジョン・コーニン上院議員と会談し、国境の壁資材の売却を阻止するための法的手段について議論したことを明らかにした。来年1月の大統領就任式までに売却が進まないようにすることを目指している。