タイ向けの中国製潜水艦、独企業のエンジンを使えず=米紙

2022/03/15
更新: 2022/03/15

中国がタイ海軍に販売するS26T潜水艦に、ドイツのMTUフリードリヒスハーフェン社(MTU Friedrichshafen GmbH)のディーゼル・エンジンを装備できないことがわかった。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)14日付によると、中国とタイの間で、S26T潜水艦の売却に関してすでに合意している。タイ海軍のスポークスマンは、売却協定では、中国製のS26T潜水艦にMTUフリードリヒスハーフェン社のエンジンを装備することが必須となっていると示した。タイは潜水艦の購入に向けて4億1000万ドルを拠出したという。両国は現在、他社のディーゼル・エンジンを採用することで交渉しているが、合意に至っていない。

MTUフリードリヒスハーフェン社は昨年、独メディアの取材に対し、過去に中国の039型潜水艦にエンジンを提供したと明らかにした。同社はWSJに出した声明の中で、ドイツ国内の法改正により、中国への潜水艦用エンジン供給を「中止した」とした。

欧米諸国は近年、中国共産党政権が欧米企業から取得した先進技術を軍事転用し、軍近代化の実現を警戒して、中国への技術や製品の輸出を規制し、中国企業による買収案の審査を厳格化した。

中国国有企業がドイツの重要な戦略産業に投資拡大していることを受けて、同国議会は2020年6月18日、外国直接投資の審査を強化する対外経済法(AWG)の改正法案を可決した。改正法案では、欧州連合(EU)域外の企業が重要分野におけるドイツ企業の株式10%を取得した場合、ドイツ政府は包括的な審査を行うことが可能になる。

20年8月、同政府は、航空宇宙通信レーザー通信機器メーカーのマイナリック(Mynaric)に対し、中国企業への衛星ワイヤレスレーザー技術の販売を禁止した。

(翻訳編集・張哲)